スムーズ・クリミナル
ふたば亭プラスです。
皆さんはマイケル・ジャクソンの「スムーズ・クリミナル」と言う楽曲をご存知でしょうか?
この楽曲のダンスで彼は「反重力傾斜」(通称:ゼロ・グラヴィティ)を披露。背筋をピンと伸ばしたまま、ありえない角度まで身体を傾斜させるのです。超極端な斜め立ちのような感じ。
多分、誰もが一度は見た事があると思います。
秘技「反重力傾斜」!
ゼロ・グラヴィティ!
7分5秒〜に注目。
これはPV映像なので編集など色々と融通が利きますが、彼はその後の生ライブでこれと全く同じパフォーマンスをして世界中の度肝を抜きます。
4分18秒〜に注目。
この動きはいくらマイケルが身体を鍛えているからといって、簡単にできるものではありません。
どのような仕掛けになっているのか?
1990年代当時、色んな憶測が飛び交いましたが、この仕掛けについてマイケルジャクソンは特許を取得していたのです。
この特許について既に知っている人もいるかもしれませんが、少し詳しく説明していきます。
特許の詳細
私は職業柄、1日に数百件の特許を読む事があるので、このマイケルジャクソンの特許については以前から興味を持っていました。
出願は1992年で、翌年の1993年に権利化されています。
まずは、この特許の『原文』と、その『図面』をご覧ください。
<特許原文>
米国特許US5255452A
(Method and means for creating anti-gravity illusion)
<図面>
[US5255452Aより]
図面を見るだけで何となくイメージができると思うのですが、簡単に説明するとこんな感じ。
◆靴のかかとにV字の切れ込みを作る
↓
◆床から細い金具を出しておく
↓
◆V字切れ込みにその金具を引っ掛ける
↓
◆その状態で身体を前に倒す
よく考えられた特許だと思います。
この特許について、更に『映像』で分かりやすく説明している動画もありました。
ただ・・、このような仕掛けがあったとしてもかかとの固定金具だけで身体を前に倒していくのは、かなりの基礎体力が必要だと思うのです。
彼がこのアイデアを思いついた時に、「自分ならできる!」と絶対の自信があったのでしょうね。
ちなみにこの特許は既に権利化が消失しています。
要は誰がやってもいい事になっており、様々なアーティストがこのパフォーマンスをダンスに取り入れたりしていますが、やはり本家には敵いません・・・。
共同出願人
この特許の発明者は、マイケル・ジャクソンを筆頭にして、あと2人います。要は3人の共同出願。
登録されている発明者(Inventors)はこのようになっています。
Michael Jackson |
Michael L. Bush |
Dennis Tompkins |
この2人、Michael L. Bush(マイケル・ブッシュ)とDennis Tompkins(デニス・トンプキンス)さんは、知る人ぞ知るマイケル・ジャクソンの衣装を初期から手がけてきたスペシャリスト。
特に、マイケル・ブッシュさんはマイケル・ジャクソンとは同い年で、「バッド(BAD)」の世界ツアーにも参加していたようなので、それこそ旧知の仲だったのでしょうね。
この「反重力傾斜」は、マイケル・ジャクソンの自宅でダンス創作している時に生まれたようです。2人で「ああでもない、こうでもない」と言いながら、アイデアを出しあっている様子が目に浮かびます。
マイケル・ジャクソンは日頃から良くこんな事を言っていたようです。
僕はほかの誰よりも目立たなくちゃいけないんだ。
(マイケル・ジャクソン)
彼らしい言葉だと思います。そして、何十年にも渡り見事にそれを実践してきました。それを支えてきたのが衣装デザイナーのお二人だったのでしょう。
マイケル・ブッシュさんは、2012年に「マイケル・ジャクソン展」のために来日したのですが、その時のインタビューの様子が朝日新聞デジタルの記事になっています。興味深い内容ですよ。
<朝日新聞デジタル>
http://www.asahi.com/fashion/topics/TKY201210270179.html
ちなみに、彼はこんな本も出版しています。
愛されたスーパースター
私は世代的にマイケルジャクソンの大ファンでした。
「曲」「歌詞」「歌唱力」「ダンス」「人間性」の全てがパーフェクトだったと思います。
一時期、ゴシップ雑誌で騒がれた事もありましたが、そんなものは彼の偉業に比べれば些細なもの。(どこまでが真実か分からない事もありましたし。)
彼の曲の中で私が最も好きだったのは「ヒール・ザ・ワールド(Heal the World)」。
ヒール・ザ・ワールド
(Heal the World)
世界を治療するんだ!より良い場所にするんだ!
そんな彼のメッセージが美しい曲と共に心に響く名作。「We are the World」より、こっちの曲の方が好きですね。永遠に語り継がれていくべきだと思います。
他にも好きな曲は山ほどあり、新曲が出るたびに完成度の高さにいつも感嘆していました。
そして2009年。
「This is It」のロンドン公演で、久々に彼のステージを見れるのを楽しみにしていた矢先、彼の訃報をニュースで知ったのです。
本当にショックでした。
ニュースの映像を呆然と眺め「嘘であって欲しい」とどれだけ耳を疑った事か。。。
全世界の人々が悲しみ、誰もがその偉業を思い出す中、彼は伝説になりました。少なくとも私の中ではまだ彼は生き続けています。
これは2009年に発売されたNewsWeekの「マイケルジャクソン完全永久保存版」。今でも大事に保管しています。

そしてCDコレクションの一部。
