甲種危険物取扱者に独学で一発合格する方法

受験の経緯

ふたば亭プラスです。

これまで、乙4を含め複数の乙種資格は持っていました(乙種取得時記事参照)

必須という訳ではありませんが、業務上、化学薬液を使う事も多くなってきたので自己啓発も兼ねて、時間のあるタイミングを見計らって少しづつ取得していったのです。(乙4を除き、2011年〜2013年にかけて取得)。

ちなみに、乙種の各種免許を取得する際に使用したテキストと問題集は下記2冊。

勉強の進め方としては、乙4の時と同じです。

まずテキストをざっと読み、ある程度理解できた時点で問題集に移り徹底的に問題を解きまくるという方式。この問題集は各種類ごとに模擬テスト形式で5回分も掲載されており、非常にボリュームがあります。これを最低3周して、問題を解きながら記憶を定着させていきました。分からない部分があったら、その部分のみを都度テキストをチェックするというやり方。

この2冊は非常に相性が良く、構成も優れているため効率良く勉強する事が出来ました。それほど苦労する事なく2、3、5、6類を全て一発合格することができたのです。


その後、しばらく資格勉強から遠ざかっていましたが、ある事情から2017年中旬より様々な技術系資格を多数取得する必要が出て来て、約10ヶ月で10個の資格を取るスケジュールを組み上げ、その中に甲種危険物も埋め込みました。

ちょっと無謀とも思えるスケジュールでしたが、勢いに乗って一気に取ってしまいたかったのです。

この時のスケジュールの詳細については、下記の記事を参照願います。

あと、技術系資格の中でも世間的に認知度の高い危険物において、最高峰となる甲種を持っていれば実践的にも役に立つだろうし、今後転職する際にアピールポイントになるだろうという思いもありました。


難易度と合格率

【難易度】★★★★★★★☆☆☆
【試験日程】都道府県ごとに不定期実施
【受験者数】約1万8千人/年
【合格率】約30%

「受験者数と合格率」の年度ごとの詳細データについては下記の記事にまとめたので参考にして下さい。


受験資格

受験資格は下記の4つのいずれかが条件となっています。よほど化学の専門分野を極めていない限り、多くの方は(1)に該当すると思います。私も(1)で受験資格を得ました。

(1)乙種危険物取扱者免状を有する者
2年以上の実務経験がある者、若しくは下記4つの免状がある者
・第1類または第6類
・第2類または第4類
・第3類
・第5類
(2)大学等で化学に関する学科等を修めて卒業した者
(3)大学等で化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
(4)修士・博士の学位を有する者


申し込み&費用

【受験費用】5,000円
(2018年中旬から6,500円)

【申請先】一般財団法人 消防試験研究センター


勉強方法

危険物の勉強は、ほぼ5年ぶり。しかも甲種となると法令からやり直さないといけない。また、物理化学の難易度も上がり、性質・消火は膨大な範囲の暗記が必要となります。かなり難易度の高い試験でもある為、テキストと問題集はじっくりと選ぶ事にしました。

これが最強の2冊!

【テキスト】

テキストはこれまでの乙種試験でもお世話になった、工藤政孝先生の本(通称:工藤本)を選択。至る所にゴロ合わせが掲載されています。このゴロ合わせについて、人によっては逆に覚えにくいという人もいるかもしれませんが、少なくとも私にはガッツリとハマりました。何がいいかって、初見では変なイラストとあいまって「なんじゃこりゃ?」状態なのですが、不思議と記憶の中枢に居座っていてくれるのです。そういう部分も計算されているとしたら、この人の言葉のセンスは相当なものだと思われます。

全パージ合わせると、ゴロ合わせは50〜60個ほどあると思うのですが、一例をあげるとこんな感じです。

<ゴロ合わせの一例>

◆水や酸を加えると「水素」を発生するもの。

水素を発生するっ    
   り。

・て→鉄
・ま→マグネシウム
・あ→アルミニウムと亜鉛
・か→カリウム
・な→ナトリウム
・り→リチウム
・バ→バリウム
・カ→カルシウム
・な→(水素化)ナトリウム
・り→(水素化)リチウム

問題集は、ネットでも評判の良かった公論出版の過去問題集『通称:黄色本』を選択(今後、当該書籍は『黄色本』と表記していきます)。過去問を徹底的に研究しており、実際の試験でもこの問題集からの出題率が非常に高いとの事。ただ、本屋ではどこにも売っておらず、仕方なく現物を見る事なくネットで購入。

そして実際に手にした時、その分厚さに驚きました・・・・・。450ページほどある。厚さは約23mm。。。こんなの使いこなす事ができるのか?とゲンナリしましたが、実際に読み始めると、非常に優れた構成になっている事に感心しました。

黄色本の利点は主に下記3点。

<ポイント1>
各セクションごとに類似の問題が固められており、意識せずに繰り返しながら暗記ができる。

<ポイント2>
超重要問題には「★印」が打たれており、勉強する上で何がポイントなのか分かりやすい。逆に何を捨てればいいのかという事が分かる。

<ポイント3>
解答の解説が非常に詳しい。ほぼテキストレベル。

この2冊の使い方として効率がいいのは、ゴロ合わせの部分のみ工藤本を利用し、ベースは黄色本を徹底的にやり込んでいくという手法。

常に持ち歩き、隙間時間を見つけては問題をこなしていったのです。私は、資格勉強する時は「最低でも問題集を3周する」というのをモットーとしていますが、この問題集のボリュームでは通常のスキマ時間だけではこなしきれず、風呂場に持ち込んだ事もあります。

また、時間のある時はトレーニングジムに黄色本を持って行き、トレッドミルやサイクリングマシンをしながら問題を解いていきました。周りからは変な目で見られましたが、体を動かしながら暗記をすると不思議と頭に入るし、体も鍛えられるので一石二鳥です。この暗記法は危険物に限らず、他の資格試験の勉強でも威力を発揮しました。

なお、国家資格全般の勉強方法のノウハウについては下記の記事を参照して下さい。実体験から得た手法をまとめています。

勉強は約1ヶ月。

黄色本を3周した頃には、問題をパッと見ただけで答えを即答できるまでになっていました。

ちなみに危険物1類〜6類の構成は下記のように分類されています。

◆1類・・・酸化性固体
(過塩素酸塩類、硝酸塩類、など)
◆2類・・・可燃性固体
(赤りん、硫黄、金属粉、引火性固体、など)
◆3類・・・自然発火性物質及び禁水性物質
(アルキルアルミニウム、黄りん、など)
◆4類・・・引火性液体
(特殊引火物、石油、など)
◆5類・・・自己反応性物質
(有機過酸化物、ニトロ化合物、など)
◆6類・・・酸化性液体
(過塩素酸、過酸化水素、硝酸、など)

性質を覚える上で心がけたのは、各類ごとに区切って丸覚えしない事。全体を通して共通する性状があるものをピックアップして関連づけて覚えていきました。

例えばこんな感じで分類して整理。

・「色が同じもの」
・「発生するガスが同じもの」
・「自然発火の恐れがあるもの」
・「貯蔵方法が共通なもの」
・「消火方法が共通なもの」
・「水に溶けるもの」

また、自分がこれらの薬品で事故にあるとどうなるのか?という怖い妄想をしながら勉強すると、不思議と頭に入っていきました。また、乙4の時にも書きましたが、動画サイト(youtube等)を通して危険物関連の事故の映像を頭に焼き付けておくのも効果があります。人間は切羽詰まった状態になると、体感的にモノを覚えようとする性質があるからです。

例えば、こんな動画。
燃焼するマグネシウムに水を加えています。

他にも、youtube検索すれば各種危険物の動画が沢山出て来ます。こういうのを見ると息抜きにもなるかもしれませんね。


試験日

1時間ほど前に到着したのですが、この会場は甲種だけではなく、乙種と丙種も同時に試験が行われるようで、結構な人数がいました。甲種の受験層は、何だかインテリっぽい人が大半を占めており、中には女性もいました。先日受験したエックス線作業主任者と似たような雰囲気です。

そして試験開始。
試験科目は
・「法令」が15問
・「物理・化学」が10問
・「性質・消火」が20問 計45問。
合格基準は各科目ごとに60%以上が必要となります。
試験時間は2時間30分。

黄色本の驚異の的中率!

全問題をパラパラと見て驚愕したのは、黄色本」の的中率の高。「法令」「物理・化学」「性質・消火」全てに見た事のある問題のオンパレード。半分は占めていたように思います。また、工藤本で覚えたゴロ合わせも非常に役に立ちました。威力を発揮したのは、選択問題で5個中2個まで絞り込んで、どちらか迷った時。完全に覚えていないものでも、うっすらと頭の片隅に残っていれば、記憶を手繰り寄せる事ができました。

 

このようにして、比較的に楽に問題を解く事ができ、かなりの自信を持って問題用紙を提出する事ができたのです。


結果発表

ネットでの合格発表の日。受験番号は「A2ー0220」

あった!!!

ついに自分が甲種を取得できたんだ、と暫く興奮冷めやらぬ状態が続きました。

しかし、合格者が少ない。受験番号からすると、受験者数は最低でも28人いたと思われるので、合格率は約32%。まあ・・、でも全国平均レベルか。

今回、自分が合格できたのはたまたま運が良かったのかもしれません。黄色本という最強ツールを手に入れる事ができたお陰でです。この本が無かったとして「もう1回、甲種を受験して受かるか?」と言われるとちょっと自信がありません。。。

これから受験する方は、黄色本をベースにして勉強していく事をお勧めします。

ちなみに私は、ここまでボロボロになるまで使い込みました。

(追記)
このブログに「黄色本」を紹介してから、読者の方々より続々とメールでお便りを頂いております。
◆『余裕で合格できた!』
◆『本試験での再現性が素晴らしい!』
◆『もっと早くこの本に出会いたかった!』
◆『楽に勉強できる!』など。

但し1点注意があります。

ページ数に圧倒されずに、最低でも3周繰り返し条件反射で解答できるようにする事。

中途半端な状態で投げ出してしまうと、逆に甲種の勉強自体が苦痛になってしまいます。「絶対合格してやる!」という強い意志が必要です。


後日、正式な合格通知書が郵送されてきました。

全ての科目が8割を超えていました。しかもネックだった「性質・消火」が90%。合格した事以上に、嬉しかったですね。


免許申請

免許申請後、約2週間で免許到着。

やはり、甲種の欄に交付番号が入っているのは気持ちいいものがあります。

資格マニアの中には、全ての欄を埋めないと気が済まないという人が多いようですが、もう私はこれで完了させます。危険物の勉強を通していい経験をさせてもらいました。


勉強に疲れたら・・・ちょっと一服

勉強に疲れたら動画配信サービスで一息つくのはどうですか?
人気のある15社の特徴をまとめてみました。

無料視聴期間もあるので、じっくりと自分に合うものを選ぶ事ができますよ。


国家資格『最年少』『最高齢』合格者調査

様々な国家資格や各種検定の『最年少』『最高齢』合格者を調査してまとめました。
すごい方ばかり。
これを見る事で勉強のモチベーションも上がると思います。



危険物を活かせる職業

この資格はガソリンスタンドを初めとして化学工場や研究機関など、様々な業種に活かす事ができます。

実際にどのような職種があるのか『リクナビNEXT』や『DODA』に登録して調べてみてはどうでしょうか?

【登録先】

リクナビNEXT

【登録先】

転職なら【DODA】求人情報・転職支援会員募集

取得資格一覧

これまで私が取得してきた資格の一覧です。

「おすすめテキスト」、「勉強方法&ノウハウ」、「試験概要」、「難易度」など、実体験をもとに紹介していますので、参考にして下さい。


また、それぞれの免許証の「形状」や「サイズ」、及び「表記内容」がどうなっているのか、下記の記事にまとめました。
同じ資格を目指している方がいれば参考にして下さい。
現物の免許証を見る事で手にした時の具体的なイメージが湧き、多少なりともモチベーションが上がると思います。