ビルメン4点セットの取得優先順位と難易度

ビルメンの仕事

設備技術系の様々な業種の中で、比較的負担の少ない仕事として「ビルメン(ビルメンテナンス)」が注目されています。主な年齢層は、圧倒的に中高年の男性が多いのですが、最近は若い方々にも人気があるようです。

では「ビルメン」とはどのような仕事をするのか?

基本的には次の4つに大分類されます。

①保安整備
②建物設備保全
③設備管理業務
④環境衛生管理

この中で最も注目を集めているのが、③設備管理業務です。

管理する具体的な設備は上図にも記載したように「電気通信設備」、「空気調和設備」、「給排水設備」、「消防用設備」、「昇降機設備」が対象となります。

この業界を目指す方々は、おそらく様々な事情がある中で未経験のまま飛び込もうとしている人が大半であるように思います。

しかし・・・、世の中そう甘くはありません。

これらの管理を行う為には、下記の国家資格が必要となるのです。

・電気主任技士 or 電気工事士
・ボイラー技士
・冷凍機械責任者
・消防設備士 or 検査資格者

ネット情報だけでなく、DODAのエージェントやハローワークの職員から色々と聞き込み調査したところ、最近は無資格で面接を受けようとしても門前払いされるケースが多いようです。

必要最低限の資格が必要とされ、それは通称「ビルメン4点セット」と言われています。


4点セットとは?

では、具体的に「ビルメン4点セット」とは何を指すのか?

一般的に下記4つの資格が挙げられます。

◆第二種電気工事士
◆危険物取扱者乙種4類
◆2級ボイラー技士
◆第三種冷凍機械責任者
 

この4資格について私は全て独学で取得しました。

下記の記事に「効率の良い勉強方法」「おすすめテキスト」「試験概要」「難易度」「費用」やその他役立つ情報やノウハウなどを実体験を元に紹介していますので参考にして下さい。

これらの資格はどれも試験で6割取れれば合格点に達します。100点を目指す必要はありません。

完璧な理解は必要なし。
要点だけ頭に入れる。

大半の社会人は、学生の頃のように勉強に費やす時間を多く取れません。仕事があるし、家庭を持っていれば休日は家族サービスもしないといけません。会社の付き合いもあります。

よって、最短の時間で可能な限り効率よく勉強していく必要があるのです。

学生の時の勉強方法は一切忘れて、資格取得用のポイントを絞った勉強をしないと途中でオーバーフローしてしまいます。

下記に「資格取得のための勉強方法(ノウハウ)」を実体験からまとめておきました。


4点セット取得までにかかる費用

では、この4点を取得するのにどれだけの費用がかかるのか試算してみました。

「独学」&「一発合格」という条件で、最も費用を安く抑えた場合のトータル金額(受験費用、テキスト&問題集、実技講習費用、免許申請費用、etc)について、実体験を元に下記の記事にまとめています。


取得優先順序

4つの資格の中で最も重要なのが、「第二種電気工事士」です。

取得するべき優先順位も最も高く、面接官もまずこの資格の有無を確認するようです(DODA及びハローワーク担当者談)。ぶっちゃけ言うと、持っていないとお話しにならないレベル。

電気関係の整備というのは、軽いものも含めると結構な頻繁があり、その作業を行うには最低限この資格がないと法的にも罰せられます。しかも受験チャンスは年2回(6月、10月)しかない。計画を立てて勉強する必要があります。
詳細な試験日程については、ECEE(電気技術者試験センター)のHP参照。

そのほかの資格については、その人の技術知識を確認する検定試験的な役割を担うものですが、「危険物乙4」と「2級ボイラー技士」については、各都道府県で年中実施されているのに対し、「第三種冷凍機械」は、受験チャンスが年1回(11月)しかありません。
詳細な試験日程については、高圧ガス保安協会のHP参照。

よって、取得優先順位としては、「電気工事士」の次に位置します。

以上を考慮すると、取得の優先順位としては下記のようになります。

【取得優先順位】
①:第二種電気工事士
②:第三種冷凍機械
③ ④:危険物乙4、2級ボイラー


難易度

受験の難易度ですが、この4つの資格の中では第三種冷凍機械」が最も難しい。実体験からそう感じました。

ただ単に過去問の繰り返し学習だけでは歯が立たず、冷熱サイクルの基本を”理解”する必要があるからです。頭の中でイメージできるようになるまで、結構な時間を要します。

次に難易度が高いのは「第二種電気工事士」でしょう。

試験構成が「筆記」と「技能」の2段階になっており、「筆記」は大したことがないのですが、ネック「技能」です。まず工具と練習キットを買い揃えて徹底的に練習する必要があります。仕事で電気工事関連の業務に就いているのならまだしも、全くの素人であれば複線図の書き方から始めて、最低でも40時間以上の練習が必要になります(実体験より)

「危険物乙4」と「2級ボイラー技士」は、ほぼ似たような難易度でした。なお、私は危険物について乙種の他の類と甲種も取得しましたが、ビルメンのみを目指すのであれば、乙4で充分でしょう。

よって、難易度は下記のようになります。

【難易度】
①:第三種冷凍機械
②:第二種電気工事士
③ ④:危険物乙4、2級ボイラー


4点セットの免許証

この4資格の免許証はどのようなものか、実物を紹介しておきます。

勉強する上で、合格すればどのような免許が手に入るのか見る事でモチベーションもアップすると思いますし、実際私もそうでした。他の方のブログの体験記やそこに掲載されている免許証を見て「絶対この資格を取ってやる!」と勉強する意識を高めていったものです。

<第二種電気工事士>

<危険物取扱者乙種4類 (甲種)>

<2級ボイラー技士>

<第三種冷凍機械責任者>

なお、冷凍機械については第三種を取得した後、第二種も取得しました。二種まで目指してみようという方は参考にして下さい。



プラスアルファの資格

4点セット以外に取得しておくと有利な資格として「消防設備士」があります。

上記の「ビルメンの仕事」でも記載しましたが、ビル内の消防用設備の整備や検査を管轄する事もあり、それらを自ら実施する場合は取得が絶対条件になります。また、専門業社に委託する場合でも、その基礎知識を保有している事で窓口的な対応や交渉をする事ができます。

消防設備士の資格は下記のように分類されています。

◆第1類:屋内消火栓、屋外消火栓、スプリンクラーなど
◆第2類:泡消火設備
◆第3類:不活性ガス消火、ハロゲン化物消火、粉末消火
◆第4類:自動火災報知、ガス漏れ火災警報など
◆第5類:金属製避難はしご、救助袋、緩降機
◆第6類:消火器
◆第7類:漏電火災警報

そして、更に「甲種」と「乙種」に分類されます。

◆甲種:工事、整備、点検が可能
(1類〜5類)
◆乙種:整備、点検のみ可能
(1類〜7類)

この中で、人気があるのは4類と6類です。受験者数が他の類と比べると飛び抜けて高い。なお、4類の方が難しいが需要があります。

種別は「乙種」と「甲種」があり、「乙種」は整備と点検を行うことができ、「甲種」はそれに加えて工事も行う事ができます。ビルメンは工事をしないので、資格としては乙種で充分ですが、甲種を持っていると就職の際にアピールポイントになります。

私も4点セットにトライする際、並行して4類(乙種&甲種)と6類の勉強も行い資格取得する事ができました。

下記の記事に「効率の良い勉強方法」「おすすめテキスト」「試験概要」「難易度」「費用」やその他役立つ情報やノウハウなどを実体験を元に紹介していますので参考にして下さい。

そして、これが消防設備士の免許証です。


実際の求人数

次に、これらの資格について、実際の求人数がどれくらいあるのか「リクナビNEXT」と「ハローワーク」のデータベースから調査してみました。

【設備技術系資格求人数(2019年度)】
(ハローワークベース)

1位:第二種電気工事士 (1712件)
2位:危険物乙4 (1220件)
3位:消防設備士 (880件)
4位:電験三種 (151件)
5位:2級ボイラー技士 (131件)
6位:エネルギー管理士 (108件)
7位:第三種冷凍機械 (35件)
8位:ビル管理士 (27件)

【設備技術系資格求人数(2019年度)】
(リクナビNEXTベース)

1位:第二種電気工事士 (289件)
2位:消防設備士 (60件)
3位:電験三種 (43件)
4位:エネルギー管理士 (41件)
5位:危険物乙4 (20件)
6位:ビル管理士 (8件)

7位:2級ボイラー技士 (2件)
8位:第三種冷凍機械 (1件)

やはり、圧倒的に「第二種電気工事士」がトップです。次に「消防設備士」となっており需要の高さがうかがえます。

なお、この調査結果の詳細については下記の記事にまとめています。


上位資格(次のステップ)

ビルメン4点セットの上位資格として「ビルメン三種の神器」というものがあります。

【ビルメン三種の神器】
◆第三種電気主任技術者(電験3種)
◆エネルギー管理士
◆ビル管理士(建築物環境衛生管理主任技術者)

これらはビルメン4点セットに比べると難易度が圧倒的に高く、並大抵の努力では取得できません。特に「第三種電気主任技術者(電験3種)」の合格率は常に一桁台です。
但し、ビルメン業界での処遇は大幅にアップするのは間違いなく、管理職として採用される事も可能でしょう。

また、ビルメン4点セットを取得し設備業界へ就職した後、実務を通しながらじっくりと腰を据えて勉強していくという選択肢もあります。

どちらにしても、設備業界を目指すのであれば、いつかは取りたい資格ですね。


<追記>
ちなみに私は、第二種電気工事士の資格を取ってから電気に興味が湧き、猛勉強の末、電験三種まで取得する事ができました。


これまで私が取得してきた資格の一覧です。「おすすめテキスト」、「勉強方法&ノウハウ」、「試験概要」、「難易度」など、実体験をもとに紹介していますので、参考にして下さい。


あと、保有している様々な免許証の「形状」や「サイズ」、及び「表記内容」などについて、現物写真と共に下記の記事にまとめました。
同じ資格を目指している方がいれば参考にして下さい。
現物の免許証を見る事で手にした時の具体的なイメージが湧き、多少なりともモチベーションが上がると思います。