理系人間の「簿記3級」独学挑戦!合格するための勉強方法

受験の動機

私は家族や親戚の大半が理系という環境で育ってきた為、小さい頃から典型的な理系人間でした。大学も理工学部に進み、就職した会社も某メーカーの化学系エンジニア。約20年以上に渡って、製品開発や基礎研究に携わってきました。

そんな中、ある大きな開発プロジェクトを指揮する立場に抜擢された事がありました。

ただ、社内プロジェクトで企画したものに対する予算を会社に申請する際、どこまで説得力のある資料を作成して資金を得るかが非常に重要となります。

特に、開発や研究に使用する装置を購入するとなると、数百万円〜数千万円の世界・・。

初期投資に対して、どれくらいで元が取れて会社の利益に貢献するか、という事を明確に申請しないと却下されてしまいます。

また、予算申請が通ったとしても、設備投資に対して来期以降に減価償却という形で損益計算書に影響がでてくるし、キャッシュフローの管理も必要となります。

◆設備投資費の申請をスムーズに通したい
◆経理部門と対等に話ができるようにしたい

財務諸表の基礎くらいは身につけて自分が計画したプロジェクトが本当に会社に有益となるのか、経理部と肩を並べて話ができるようになっておきたい、というのが動機でした。


難易度と合格率

【難易度】★★★☆☆☆☆☆☆☆
【試験日程】3回/年 (2月、6月、11月)
【受験者数】約10万人/年
【合格率】約40%(商工会議所データ

毎年、10万人を超えている人気資格です。ただ、合格率は50%を切っているので、それなりに勉強しないと合格は困難でしょう。


申し込み方法

【受験資格】制限なし(誰でもOK)
【受験費用】2,800円
【申請先】全国各地の商工会議所

上記リンク先からインターネット申請が可能です。


試験概要

【試験科目】商業簿記
【制限時間】2時間
【合格基準】70%以上

マークシート形式ではなく、記述式となります。


勉強方法

冒頭にも書いたように、私は理系人間であり「簿記って何?」というところから学習を始めました。

そして本屋で初めてテキストや過去問を見て愕然。。。「何じゃこりゃ?」状態。経理の知識がなかったからかもしれませんが、何だか異文化の世界を見ているような感じ。技術系資格とのギャップに戸惑ったのを覚えています。

なお、簿記の勉強をする上で大事なのは「どれだけ興味を持てるか」という事。

結論から言いますが、理系の私でも簿記の勉強はやり始めてみると新鮮で面白かったのです。よく世間では「簿記は苦手」という声を聞きますが、それは自発的にやろうという意識がなく、何らかの理由で検定取得を義務化されているという状況で勉強しているからなのでしょう。

理系でも簿記は面白く感じた。意識の持ち方次第。

 例えば、自分自身が会社を経営しているようなシチュエーションを頭に描いて問題を解いていくとゲーム感覚で面白いと思います。

では、どんな試験なのか。
まずは出題形式。ざっくり言うとこんな感じになっています。

1問目は、比較的簡単で得点源となり得るでしょう。しかし、3問目と5問目は難問です。2時間の試験で時間切れとならないように、後回しにして余った時間でじっくりと解答した方がいいと思います。

なお1点念頭に置いておく事があります。

完全正答できなくても部分点はかなりつけてくれる

最後まで諦めずに自分の知っている知識を全てぶつけた方がいいでしょうね。

そして、おすすめのテキストは下記2冊。ネットでも評判がよくベストセラーになっています。最重要ポイントが上手くまとめられていて、難しい内容も優しい言葉で表現されており、簿記が初めての方でもすんなりと理解できるでしょう。

この2冊だけで充分

何冊も買い揃える必要はありません。

そして、勉強方法として次のように進める事をおすすめします。

テキストはさらっと読むだけ。あとはひたすら過去問をやりまくる。

過去問は最低でも3周はした方がいいでしょう。これは私が技術系資格を取ってきた時に心がけていたやり方。

なお、国家資格全般の勉強方法のノウハウについては下記の記事にまとめていますので参考にして下さい。

簿記の勉強は問題の数をこなして慣れることが重要です。イメージとして、頭で理解するのではなく条件反射的に体で覚えるという感じ。

ちなみに、簿記を勉強する上で「取引の8要素」は頭に入れておいた方がいいでしょうね。全ての基本となっています。

ただし、単に丸暗記しない事。いきなりこの表から入っていくと逆に混乱する可能性があります。問題を解きながら「こうなっているんだ」と、8要素の原理原則を体感できるようになるまで過去問を繰り返す事をお勧めします。

そして、もう1つ重要な事があります。

電卓は大型の高品質なものを使う。小型の安物はダメ。

これ、結構重要です。いい電卓を使う事で計算ミスは格段に減少し、素早く正確にタイプする事が可能となり、問題を解く効率が格段に向上します。慣れてくればブラインドタッチもできるようになるでしょう。

そうなれば自然とモチベーションも高まります。

例えばこういうタイプのもの。ネット上でもかなり人気の高いモデルです。

他にも似たようなモデルが沢山ありますので、自分の好みで購入すると良いでしょうね。カタカタと電卓を打ちながら問題を解いていくのは楽しいものです。

なお、簿記の試験は年間3回もあります。1回不合格になってもまだ2回リベンジする機会があるのです。気楽な気持ちで試験に臨んだ方がいいでしょう。

そして、最後に1点だけ忠告。

3級だからといってなめてかかると落ちる

世間では、一夜漬けとか3日で受かったとかいう情報が散乱していますが、信じてはいけません。特に最近は難化傾向にあるようです。全くの初学者であれば、少なくとも数週間前から1時間/日以上(20〜30時間)は勉強した方がいいでしょう。


合格証

私は運よく1回の試験で合格しました。

実際に手にすると嬉しいものです。そして、経理の基礎は手中に収めたという自信もつきました。仕事だけではなく、家庭生活においても有効に活用できると思います。

ちなみに、簿記には2級、1級とありますが、私は3級で充分です。経理のプロになる訳でもないし、技術系資格とは違う世界を垣間見れただけで満足です。いい経験をさせてもらいました!

基本概念の理解は3級で充分


試験の改定(2019年度以降〜)

簿記3級の試験の出題範囲が2019年度以降、改定となります。

詳しくは、商工会議所のHPを参照願います。

背景として、次のように記載されています。

簿記検定試験が現代のビジネススタイルの変化により適合し、実際の企業活動や会計実務を織り込んだ実践的な出題内容に進化する事で、簿記の学習者のニーズに応えられるよう、出題内容および級ごとの出題範囲を改定することにしました(商工会議所)。

まあ、もっともですね。

試験内容が現状ニーズに合うように大幅に改定

更に、実践に役立つ試験へと変貌してくれる事に期待します。


参考までに、私がこれまで取得してきた資格の一覧表を下記にまとめています。主に技術系資格ですが、各資格の「おすすめテキスト」「勉強方法&ノウハウ」「試験概要」「難易度」などを記事にリンクさせていますので、参考にして下さい。