第三種冷凍機械責任者に独学で一発合格する方法

受験の経緯

ふたば亭プラスです。

モノを冷やす冷蔵庫やクーラー。あの仕組みはどうなっているんだろう・・・。

子供の頃から興味はありましたが、この原理は少し特殊で学校や大学でもあまり詳しく教えてもらえず、社会に出ても関連のない職種についたので(某メーカーの化学系エンジニア)、生まれてこの方40〜50年間ずっと疑問でした。

そんな中、自己啓発として様々な設備技術系の資格にチャレンジする計画を立てていた時、『モノを冷やす原理:冷凍サイクル』をマスターできる冷凍機械責任者の資格の存在を知ったのです。

冷凍サイクルをマスターできる資格

この資格は、設備系資格の中では難解な部類に入る事もあり敬遠する人も多いのですが、私としては子供の頃から疑問だったあの仕組みを学ぶ事が出来る!という好奇心もあり、迷う事なく受験する事にしました。

あと、設備管理技術の基本セット(通常ビルメン4点セット)の中に組み入れられており、取得する事で将来異業種へ転職する際にアピールポイントになるかなという思いもあったのです。

なお、この資格の保持者は冷凍機械に関る高圧ガスを製造できる施設で保安管理を行う事ができ、その規模によって一種、二種、三種と3ランクに分かれています。

第一種全ての製造施設の保安が可能
第二種1日の冷凍能力300トン未満の製造施設
第三種1日の冷凍能力100トン未満の製造施設

どのランクでも受験制限はなく誰でも受ける事ができるのですが、まずは基本からやってみようと一番下位の「三種」をターゲットにしました。

1年に1回しかない試験(検定を除く)であり、もし上位ランクに挑戦して落ちてしまったらもう1年待たないといけないし、その時に受験機会があるとは限らない。。。
後悔はしたくなかったのです。

ちなみに、もしビルメンのみを目指すのであれば「三種」で充分のようです。
私は勢いに乗って二種まで取得してしまいましたが・・


難易度と合格率

【難易度】★★★★★☆☆☆☆☆
【試験日程】1回/年(講習は2回/年)
【受験者数】
(全科目)8千〜9千人
(科目免除)約2千人
【合格率】
(全科目)30%〜40%
(科目免除)70%〜90%

「受験者数と合格率」の年度ごとの詳細データについては下記の記事にまとめたので参考にして下さい。


申し込み

【受験費用】7,900円

【申請先】高圧ガス保安協会

インターネットでの申し込みが可能です。
国家試験の申し込み


勉強方法

テキストと問題集は、本屋で数冊確認して最も見やすかったもの、及びネット情報で評判の良い2冊をセレクトしました。

この2冊は最強の組み合わせ!

まずはテキスト「トコトンわかりやすい!」をザッと斜め読みしましたが、難解な「冷凍サイクル」について膨大な写真やイラストと共に非常に分かりやすく記載されています。テキストというより辞典に近い感じ。

「よくもまあここまでまとめ上げたものだ」と感心しましたが、このテキストをじっくりと読んでいると時間がいくらあっても足りないので、いつもの国家試験対策のように過去問をベースにして勉強していきました。

当然、1周目は惨敗です。。。
1〜2割程しか正解しませんでした。
やはり一般的な資格より難易度は高い

しかし、間違える度にテキストで該当する箇所を読み返しているうちにぼんやりと全体像がつかめてきました。

また、問題集の方も解説が非常に詳しい
重要ポイントが問題集とテキストでダブルでチェックできるような感じ。この2冊はいい組み合わせだと思います。

あと、ネット上のサイトで冷凍サイクルの基本を過去問をもとに初心者にも分かり易く提供してくれている「EchoLand」も大いに活用させてもらいました。

「EchoLand」の情報量は半端ない!徹底的に問題演習が行える。

<EchoLand>
http://www.echoland-plus.com

正直、このサイトの完成度には恐れ入りました。。。
無料でここまでの問題&解説を提供している所は他にないでしょう。

このように、上記「テキスト」と「問題集」の2冊と、「EchoLand」サイトという最強の布陣でこの資格勉強に取り組む事ができた事は運が良かったのかもしれません。

そして、過去問集の2周目の半分を過ぎたあたりから、難解な冷凍サイクルについて、徐々に歯車が噛み合うように理解できていきました。頭の中にイメージが出来上がってきたのです。

この資格勉強のポイントは、p-h線図&冷凍サイクル図を頭に叩き込む事。

過去問の丸暗記はダメ。真髄を理解する事。

自動制御装置や冷媒配管の勉強をする際にも、「この部分は冷凍サイクルのここを説明してるんだな」とイメージしながら取り組んでいきました。

あとは、下記図のような感じで「蒸発」「圧縮」「凝縮」「膨張」に加えて、附属機器や自動制御機器がどのように関連し合っているのか、自分なりに図にまとめてみると頭に残りやすくなります。

下図はあくまで一例(個人的に学習に使用していたもの)です。
あくまで参考例として見てください。
自分さえ理解できればどんなフォーマットでも構いません。
とりあえず全体機構を把握する事が大切。

実際のモデル機をベースとした説明については、下記動画が分かりやすいと思います(タドタドしさがまたいい)。後半に出てくるおじさんはおそらく専門家でしょう。

あと、シェル&チューブの「水冷凝縮器」と「乾式蒸発器」の特徴について、端的に説明しているのが下記の動画。ほんの1分ほどの説明ですが、イメージとして捉える事ができました。

ちなみに、三種では計算問題は出てきませんが、下記公式は覚えておいた方がいいと思います。三種ではこれらの公式を「言葉」で説明しており、その微妙なニュアンスも文章で覚えなけれなりません。

意味が分からなかったら丸暗記という苦行を強いられることになります。
そんな事をするくらいなら、上記のp-h線図に絡めた冷凍サイクルと下記公式を覚えた方が、頭の中でイメージできるし、より記憶に定着しやすくなります(実体験より)。

◆qmr(冷媒循環量)=V・ηv/v
V:ピストン押しのけ量、ηv:体積効率、
v :比体積

◆φo(冷凍能力)=qmr(h1-h4)
◆Pth(理論断熱圧縮動力)=qmr(h2-h1)
◆P(実動力)=qmr(h2-h1)/ηc・ηm
ηc:断熱効率、ηm:機械効率
◆φk(凝縮能力)=qmr(h2-h3)
◆COP(成績係数)=φ0/P
◆COPh(ヒートポンプ成績係数)=φk/P

あと注意しないといけないのが、問題の出題方法がいやらしい事。。。全て選択肢ですが、どれか一つを選ぶのではなく、何パターンか組み合わされている中でどれが正しいかを選べ、というもの。

例えばこんな感じ。

次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、冷凍能力と圧力容器の圧力試験について正しいものはどれか。

イ.冷凍装置の気密試験を実施した時、加圧終了時刻の外気温度を記録した。
ロ.冷凍装置の真空放置試験を、内圧8kPaで実施した。
ハ.圧力容器の耐圧試験を、気密試験の後に実施した。
二.圧力容器の耐圧試験を気体で行う際、圧力計の文字板の大きさが75mmのものを使用した。

(1)イ、ロ (2)イ、ハ (3)ロ、ハ (4)ハ、二 (5)イ、ロ、ハ

ちゃんと理解していないと、引っかかってしまいます。
協会の曖昧理解は一切妥協はしないぞ!という意思がひしひしと伝わってきます。。。
ちなみに、正解は(1)。

なお「法令」については、ぶっちゃけ過去問だけで何とかなりました。「保安管理」ほど難易度が高くなく、似たような過去問が繰り返し使われているような印象を受けました。

そして、過去問を3周ほど回した頃には、8割ほど正解できるようになっていました。

実体験をベースにしたもう少し詳しい「国家資格の勉強方法」のノウハウについては、下記の記事にまとめているので参考にして下さい。


試験日

この試験の受験層は、30〜40代の男性が大半を占めていました。

少し早目に会場に着きましたが、みんな一心不乱にロビーで勉強しています。気合いというか、オーラというか、他の資格試験とは明らかに違う。
まあ、年に1回しかないので必死なのでしょう。

何だか気合い負けしそう・・・。

そして試験開始。
「法令」が20問(60分)
「保安管理技術」が15問(90分)
合格基準はそれぞれの科目を60%以上正解する必要があります。

「法令」は、はっきり言って簡単でした。
少なくても8割以上は取れていると思います。
退出時間になったらさっと切り上げて提出して教室を出ました。

そして、廊下の隅に座りながら即時「保安管理技術」の要点見直し。
どんな角度で飛んでくるのか想像がつきません。
周りをみると、他の人も同じように勉強していました。

緊張の中、いよいよ「保安管理技術」の試験が開始。

結果、過去問よりも簡単に感じました。

解いてる途中から、これはもしかしたらいけるんじゃないか?と安堵したと同時に、残りの問題もリラックスして解くことができました。
2〜3問、迷う部分もありましたが消去法で何とか回答。後日、自己採点する為に回答した番号を記憶しておきました。

【自己採点結果】
翌日の11月13日には解答がネット公開されました。

◆「法令」:17/20問正解 85%

◆「保安管理技術」:13/15問正解 87%

ホッとしました。マークミスさえしていなければ合格だと思います。


結果発表

緊張の中、ホームページを確認。受験番号は「171ー59ー0074」

あった!!!!

自己採点で合格している事は分かっていましたが、実際にこうして確定すると嬉しいものです。

後日、正式な合格通知書が郵送されてきました。


免許申請

申請してから約3週間後に免許が到着しました。カバー付きであり「おっ!高級だな」と思いましたが、中の免許は紙でした。いまどき紙はないだろと思いましたが、それでも苦労した試験だったので素直に嬉しい。実際に使う機会があるかどうかは分かりませんが。。。


追記

三種免許が到着した後、心理的な余裕ができた為、「二種」の講習&検定試験の講習&検定試験を受ける事にしました。

これは11月の国家試験の前に、高圧ガス保安協会が主催している講習を受け、前もって「学識」と「保安管理技術」の検定試験を受けて、科目免除を目指す制度です。

この内容については、下記の記事にまとめています。


『特定第一種圧力容器取扱作業主任者』の免許申請について

冷凍機械の資格を持っていると、申請するだけで(無試験で)『特定第一種圧力容器取扱作業主任者』の免許を取得できます。

申請方法について下記ブログにまとめていますので、興味のある方は参考にして下さい。


勉強に疲れたら・・・ちょっと一服

勉強に疲れたら動画配信サービスで一息つくのはどうですか?
『hulu』や『U-NEXT』など多くの人気サービス(VOD)の特徴を分かりやすくまとめてみました。

無料視聴期間もあるので、じっくりと自分に合うものを選ぶ事ができますよ。


冷凍機械責任者を活かせる職業

この資格は世間一般では少しマイナーですが、設備系の資格の中では注目度の高い資格です。この免許を取得すると、冷凍機械に関る高圧ガスを製造できる施設で保安管理を行う事ができるのです。

実際にどのような求人があるのか、『リクナビNEXT』や『DODA』に登録して調べてみてはどうでしょうか?

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国家資格『最年少』『最高齢』合格者調査

様々な国家資格や各種検定の『最年少』『最高齢』合格者を調査してまとめました。
すごい方達ばかり。
これを見る事で勉強のモチベーションも上がると思います。



取得資格一覧

これまで取得してきた資格の一覧表は下記にまとめています。「効率の良い勉強方法」「おすすめテキスト」「試験概要」「難易度」「費用」などをメイン記事とリンク。参考にして下さい。


あと、保有している様々な免許証の「形状」や「サイズ」、及び「表記内容」などについて、現物写真と共に下記の記事にまとめました。
同じ資格を目指している方がいれば参考にして下さい。
現物の免許証を見る事で手にした時の具体的なイメージが湧き、多少なりともモチベーションが上がると思います。