目次
受験の動機
ふたば亭プラスです。
この資格を取得しようとした背景および目的は主に3つあります。
(1)自分のX線知識の把握
(2)東日本大震災の原発事故
(3)他業種へのステップアップ
以下に、それぞれ詳しく説明していきます。
(1)自分のエックス線知識の把握
私は会社の業務の一環として、長年に渡りエックス線を使う分析装置(SEM-EDX、X線回折、等)を使用してきました。一般的にこのような分析装置は非常に安全性が高く、特別な免許は必要ではありません。
ただ、以前から「エックス線作業主任者資格」の存在は知っており、業務経験で培ったエックス線の知識が国家資格としてどれだけ通用するのか試して見たいという思いもあったのです。
しかし、当時は仕事が忙しく勉強する時間さえなかったのですが、業務に一区切りがつき、比較的時間を自由に使える状態になったのを見計らって、チャレンジする事にしました。実はこの時、他の資格試験の勉強も並行して行なっていた時期で、勉強癖がついた勢いに乗って、一気に取得したかったのです。
(2)東日本大震災の原発事故
2011年、東日本大震災の発生と共に、原発事故が起きました。当時、政府の発表は二転三転し日本中が大混乱に陥りましたが、この時人体に与える危険度に関する誤情報も沢山配信されてしまいました。
エックス線の人体へ与える影響として「どこまでが安全でどこまでが危険なのか」自分の中で知っておきたかったのです。エックス線の資格試験はこの分野も含まれます。
放射能汚染の危険性について、報道される情報を全て鵜呑みにするのではなく、自ら正確に判断できる知識を習得したいというのも目的の一つでした。
(3)他業種へのステップアップ
この資格を持っていると、下記のような業種に就く際に有利になります。
①非破壊検査業務
②分析装置の設計開発
③医療機器のサービスエンジニア
④特許調査業務(分析分野)
今後、他業種への転職する事になった場合の事を考え、業務選択の幅を広げたかったのです。
難易度と合格率
【難易度】★★★★★★☆☆☆☆
【試験日程】都道府県ごとに不定期実施
【受験者数】約5千〜6千人/年
【合格率】約50%
「受験者数と合格率」の年度ごとの詳細データはこのようになっています。
専門性が高い分野の資格である為、毎年の受験者数(約5千〜6千人/年)は他の資格試験に比べると少ない方でしょう。
そして合格率は約50%と比較的高くなっていますが、少し注意して欲しいのが、受験生はエックス線に精通した方々が本気になって挑んでくるという事。会社から業務命令で来ている方も多いでしょう。それでも2人に1人は落ちてしまうのです。
舐めてかかってはいけません。
但し、この記事で紹介している勉強方法を系統立てて取り組んで行けば、エックス線分野の素人の方でも1ヶ月ほどで合格する事が可能です。
試験概要
マイナーな試験のため、試験概要についても簡単に説明しておきます。
【試験科目と出題数】
①エックス線の管理:10問
②関連法案:10問
③エックス線の測定:10問
④生体に与える影響:10問
合計:40問
【試験時間】
①、②:2時間
③、④:2時間 計4時間
【合格基準】
◆①〜④の各科目ごとの得点が40%以上
◆合計点が60%以上
なお、試験は財団法人安全衛生技術試験協会が指定期間となって、全国7か所の安全衛生技術センターで実施されています。年間3〜6回ほどですが、センターが近くにない地方については、出張試験も行われているため、受験チャンスはもう少し多い。不合格となっても、すぐにリベンジできる環境は整っています。
申し込み
【受験費用】6,800円
【申請先】公益財団法人 安全衛生技術試験協会
ボイラーと同じ安全衛生技術試験協会が窓口であり、この申し込み方法が厄介でした。。。危険物やTOEICのようにネット上でさっと申し込めるというものではありません。まず受験申請書を取り寄せ、手書きで書類を作成していく必要があります。
また、受験費用もカード決済ができません。銀行か郵便局で振り込み、その用紙を申請書に添付し、更に自分の写真も貼り付けて郵送するというもの。
詳細はここから。↓
ちなみに、申請書はこんな感じで、36ページほどの冊子になっており、作成例も含めてかなり詳しく書かれています。ボイラーだけではなく、その他資格も共通となっているのが分厚くなっている要因です。
郵送が基本なので、締め切りに間に合うよう早目に申し込んだ方がいいでしょうね。
勉強方法
エックス線関連のテキストは非常に少ないく、ある程度規模の大きな本屋に行かないと置いていません。
そんな中、県内でも最大規模の本屋に行き、3冊あったエックス線関連本の中で自分の好みにあっていたのが、下記のテキスト「エックス線作業主任者試験徹底研究」(オーム社)でした。ネットでの評判も良さそうです。
あと、過去問集を手に入れようと本屋を探しましたが何処にも置いてないので、とりあえずネットで評判の高かった「エックス線作業主任者過去問題・解答解説集」(TAKARA license)をAmazonで購入する事にしました。どんな構成になっているのか手にするまで分からなかったのですが、各問題に対する解説が非常に詳しく書かれていて読みやすいく、まさしく当たり本でした。
この2冊を徹底的にやれば合格圏に達します
何冊も本を買ったり、講習会に参加する必要はありません。
まずは、テキストの方から読み進めていったのですが、各章ごとに非常に良くまとまっており、また掲載されている問題数も多く過去問の傾向に合致しています。まさにエックス線試験に受かる為に徹底的に無駄を省いた構成になっているのです。
普段の資格試験の勉強では、テキストは適当に斜め読みして過去問を重点的にやるスタイルを貫いているのですが、このテキストはきっちりと重点的にやりました。
自分が関わっている分野であり、基礎からおさらいする事ができ面白かったという事もあります。初心者の方も最初はとっつきにくいかもしれませんが、我慢して読み進めれば全体構成がぼんやりと見えてきて、2周目に入る頃には点と線が繋がるようになって来るはずです。
ただ、log計算の部分は事前に勉強しておいた方がいいかもしれません。
log計算の基本は重要
まあ、複雑なものは必要ありません。高校レベルの下記基本式さえおさえておけば大丈夫です。
一例として、こんな計算問題が出ます。
(安全衛生技術試験協会HPより公開問題)
この手の計算問題はパターン化されており毎年似たような問題が出題されています。解答方法さえ身につければ得点源となります。なお、計算問題は全体の1割程度。それ以外は、ほぼ文章問題であり、暗記が主体となっています。
そして、「生体に与える影響」の分野としてはこんな問題が出題されます。
被ばくに関するかなり生々しい内容です。テキストでもこのあたりはかなりのページ数で詳細に記載されています。冒頭でも説明したように、エックス線の生体に与える影響について、十分知識として吸収する事ができます。
ちなみに、この設問で出てきている「Gy」の単位は「グレイ」と読み、物質が単位質量あたり放射線から受けるエネルギー量(吸収量)を表しています。例えば、重さ1kgの物質が放射線により1J(ジュール)のエネルギーを吸収した時の吸収量は1Gyとなります。
あと、よく耳にする「シーベルト(Sv)」というのは、放射線が人間に与える健康影響を評価する為の値となります。
なお、放射線被ばくの詳細については下記の記事にまとめています。
もう少し詳細に知りたい方は参考にして下さい。
そして、テキストをやり込んだ後は、ひたすら過去問を解きまくりましょう。紹介した過去問題集には8回分の過去問が掲載されていますが、最低でも3周繰り返し徹底的に叩き込んで下さい。毎年似たような問題が出題されているという傾向も見えてきて、今度の試験でどのような問題が出そうか、感覚的に分かるようになります。
あと、ネット上で有効活用したのが、下記サイトです。
このサイトに掲載されている無料で見れる情報がとんでもなく優れているのです。何を主体にして勉強すればいいのか、また何がポイントなのかを分かりやすく教えてくれる上、過去問の解説も素晴らしい。このサイトの過去問をやり込めば、上記に書いた過去問題集はいらなかったかもしれません。
そして、次にオススメなのが、高校物理のX線発生メカニズムの動画。
https://www.youtube.com/watch?v=YtOwpIi1Ndg
エックス線の基本原理が一発で分かる
これが無料動画というのが信じれらません。凄いクオリティーです。この動画を2〜3回繰り返し見れば、初心者の方でもすんなりと理解できるでしょう。
なお、実体験をベースにしたもう少し詳しい「国家資格の勉強方法」のノウハウについては、下記の記事にまとめているので参考にして下さい。
試験日
地方の出張試験の日程が合わなかった為、近畿安全衛生技術センターの本部がある兵庫県加古川まで足を運ぶ事になりました。最寄りの加古川駅から歩いたのですが非常に遠く20分ほどかかりました。おまけにちょうど改築工事中で分かりづらく、しばらく彷徨ってしまった。。。
会場に集まっている方々は、30代〜40代が多く、その中でスーツを着ている人が3割ほど占めていました。試験会場でスーツというのも珍しく、おそらく会社からの業務命令による受験だったと思います。試験後は会社に戻るのかもしれません。そして驚いた事に女性の方も1割ほどいました。
試験は午前と午後に分かれており、
・午前は「管理」と「法令」(2時間)
・午後は「測定」と「生体」(2時間)
それぞれ10問づつ計40問出題され、合格基準は各科目ごとに40%以上で合計点が60%以上です。
そして試験開始。
どちらの問題も見た途端に合格を確信しました。やり込んだ過去問と近い問題が結構出ていたのです。かなりの自信を持って解答用紙を提出することができました。
周りの受験生も約半数が1時間も立たないうちに用紙提出していました。
過去問をやり込めば大丈夫
そう実感しました。
結果発表
ネットでの合格発表の日。受験番号は「0015」。
あった!!!
今回の試験は自信があったのですが、実際に自分の受験番号があると嬉しいものです。後日、正式な合格通知書が郵送されて来ました。
免許申請
免許申請は、東京労働局が一括して行っているようです(ボイラーと同様)。年末年始は混み合うようで、申請してから免許が発行されるまで、1ケ月程かかりました。免許証は硬いプラスチックで出来ており質感がいい。
2級ボイラーに続き、エックス線の欄にも「1」が入りました。
なお、このエックス線作業主任者と同系統の資格として「ガンマ線透過写真撮影作業主任者」というものがあります。エックス線で培った知識を忘れないうちに受験したいのですが、他に取りたい資格もあり日程が合うかどうか・・・。
エックス線作業主任者を活かせる職業
この資格があれば、非破壊検査員やX線分析装置の保守、管理などの職種に就く事ができます。
たまに、通信教育講座の講師や空港職員なども。
その他、思わぬところで活かせる職種があるかもしれないので、『リクナビNEXT』や『DODA』に登録して調べてみてはどうでしょうか?
【登録先】
リクナビNEXT【登録先】
DODA国家資格『最年少』『最高齢』合格者調査
様々な国家資格や各種検定の『最年少』『最高齢』合格者を調査してまとめました。
すごい方達ばかり。
これを見る事で勉強のモチベーションも上がると思います。
勉強に疲れたら・・・ちょっと一服
勉強に疲れたら動画配信サービスで一息つくのはどうですか?
『hulu』や『U-NEXT』など多くの人気サービス(VOD)の特徴を分かりやすくまとめてみました。
無料視聴期間もあるので、じっくりと自分に合うものを選ぶ事ができますよ。
取得資格一覧
私がこれまで取得してきた資格の一覧表を下記ページに記載しています。
各資格の「おすすめテキスト」「勉強方法&ノウハウ」「試験概要」「難易度」などの記事にリンクさせていますので、参考にして下さい。
また、それぞれの免許証の「形状」や「サイズ」、及び「表記内容」がどうなっているのか、下記の記事にまとめました。
同じ資格を目指している方がいれば参考にして下さい。
現物の免許証を見る事で手にした時の具体的なイメージが湧き、多少なりともモチベーションが上がると思います。