目次
受験の経緯
ふたば亭プラスです。
第二種電気工事士は、危険物と並ぶくらい人気のある資格で以前から存在は知ってはいたのですが、現在の仕事は全くの別分野であり(私は某メーカーの化学系エンジニア)、電気工事経験の無い素人が手を出せる世界ではないと躊躇していました。
ただ、最近の電気工事士に対するニーズの高まり方がすごく、情報を集めるほど、将来への投資として「取った方がいい」ではなく「取っておくべき」という意識に変わってきたのです。
設備管理業界(ビルメンなど)でも比較的優遇されている資格であったのも、自分を後押しできた要因の一つでもありました。
潰しが利く資格!
では、どれだけニーズが高いのか?
実際に調査した結果を下記の記事にまとめています。
ちなみに、この第二種電気工事士を持っていれば、一般住宅や店舗などの600V以下で受電する設備(一般用電気工作物)の工事を行う事ができます。
これは有資格者しか作業できないという事が法律で定められており、専門技能のある人材として世間的評価は高く、様々な業種に就職(or転職)する際に安定した収入が期待できます。電気系資格の登竜門的な位置付けとして、広く認知されている要因でもあるのでしょう。
なお、この資格は「筆記」だけではなく「技能」試験もあります。2つの試験に合格しないと免許が発行されません。
多くの方はこの「技能」試験がある事に躊躇されていると思います。しかし、実体験から言うと、素人でも大丈夫です。ちゃんとした手順を踏めば、自己練習だけで充分合格できるレベルまで達します。
全くの電気素人でも独学で取得可能
では、電気工事経験ゼロのアラフィフの私が、この資格に合格するまでの勉強方法&ノウハウについて紹介していきます。
難易度と合格率
【難易度】★★★★☆☆☆☆☆☆
【試験日程】2回/年
【受験者数】約11万人/年
【合格率】[筆記]約60% [技能]約70%
「受験者数と合格率」の年度ごとの詳細データについては下記の記事にまとめたので参考にして下さい。
申し込み
【受験費用】9,300円
【申請先】電気技術者試験センター
(朗報)
平成30年から試験制度が変わり、1年間に2回試験を受ける事が出来るようになりました!(これまでは1年に1回のみ)。受験者数が年々増加してきている事に対する対策だと思いますが、これから受験しようとしている人にとってはラッキーですね。
【筆記】勉強方法
テキストはネットで評判の良かった「第2種電気工事士筆記試験すぃ〜っと合格」を購入。
実際に本屋でもパラパラと見てみましたが、写真とイラストがふんだんに使ってあり非常に見やすい構成。電気工事素人でも感覚的に理解できるようになっています。毎年ベストセラーにもなっているのも納得の良書です。
筆記対策はこのテキスト一冊で充分
実体験から断言できます。何冊も買い揃える必要はありません。
このテキストの利点として、出題傾向順に構成を組み立てている事。要は下記のような順番(①→②→③→④→⑤)で学習していけば効率が良くなります。
①「器具・材料工具」&「図記号」
②「電気工事の施工方法」&「配線設計」
③「検査」&「法令」
④「複線図」
⑤「電気の基礎理論」&「配電理論」
難易度が低く出題数の多いものを優先させる構成
極端な事を言うと、合格するために「捨ててもいい分野」がおのずと見えてきます。計算されつくした構成になっており安心して身をまかせる事ができました。
捨ててもいい項目を見極める
あと、過去問集も充実しています。繰り返し出る問題ばかりを180問厳選しており、解説も非常に詳しい。左右見開きのページで左に「問題」、右に「解答」と分かりやすいレイアウト。更にそれぞれの問題が参考書の何ページに記載されているかが全てリンクされています。至れり尽くせりといったところ。
そして圧巻なのが、付録として付いていた『重要ポイント:丸暗記ノート』という小冊子。重要なポイント&エッセンスが全て集約されています。持ち歩きにも便利で、スキマ学習として存分に活用する事が出来ました。(縦21cm × 横15cm、約30ページ)
総仕上げの暗記ノート
まさに最強の学習ツールを手に入れ、約1ヶ月間(毎日1時間&スキマ時間)徹底的に頭に叩き込みました。過去問は3周ほど繰り返し、ほぼ全ての問題を即答できるレベルまで高めていったのです。
(後日追記)
上記は私が受験した2017年度のものですが、2021年度の最新テキストにも同じような付録は付いていますので安心して下さい。
なお、実体験をベースにしたもう少し詳しい「資格の勉強方法」のノウハウについては、下記の記事にまとめているので参考にして下さい。
【筆記】 試験日
試験会場は県内の某大学。1時間ほど前に到着して受付前のロビーに行ってみると、既に30〜40人ほど集まっていました。受験層はどういった方達なのか気になっていましたが、老若男女さまざまな方がおり、私と同年代の40〜50代前後の男性もちらほら。。。
とりあえず、若い学生に混じっておじさんがポツンと一人受験するというような境遇は避ける事ができました。
試験会場の教室に行ってみると、皆必死に参考書に目を通しています。物凄い殺気・・。まあ、1年に1回の試験(2018年度以降〜は2回受験可能)なので意気込みが違うのでしょう。中には人生がかかっている人もいるかもしれない。負けじと私も参考書を取り出し目を通したが緊張して集中できない。まあ、今更焦っても仕方ないかと、スマホで音楽を聴いて気持ちを落ち着かせる事にしました。
そして試験開始。
試験時間は2時間で全部で50問。
◆一般問題:30問
◆配線図:20問
手応えはありました。
「第2種電気工事士筆記試験すぃ〜っと合格」の問題と似たものが結構あり、スラスラと解けていきます。試験時間は2時間ありましたが、1時間もかからないうちに出来てしまいました。
退出可能時間(試験開始後1時間)になると、ぞろぞろと半分くらいの方が退出して行きましたが、私は念には念を入れてと2〜3回見直して更に30分ほどしてから退出。その頃には1割くらいの人しか残っていませんでした。。。みんな自信があるんだなあと感心。まあ、自分も合格点の6割には達しているだろうという安心感はありましたが。
ここで1点、資格試験に関するマーフィーの法則を紹介します。
<マーフィーの法則>
選択式の試験で、最終的に2択まで絞り込んで迷った時は、最初の直感を信じる事。
大抵は直感の方が合っている。
なお、この法則は電気工事士だけでなく、他の資格試験にも適用されます(実体験より)。
そして、翌日には試験問題の解答が公開されたので、ドキドキしながら自己採点をした結果、
◆一般問題・・・25/30問正解 83%
◆配線図・・・16/20問正解 80%
【合計】41/50問正解 82%
「何とかなった。。。」
ホッと胸をなでおろしたと共に、一気に脱力した瞬間でもありました。
「すぃ〜っと」を徹底的にやれば正解率8割は超える
そう実感しました。
【筆記】結果発表
試験結果のネット発表日。
自己採点では合格していたが、実際はどうなのかヒヤヒヤものでしたが
無事合格!!!!
しかし、このネット発表の仕方って凄く微妙・・・、というか分かりにくい。
「入力した受験番号は合格者一覧にあります」って。。。。一瞬、何が何やら分かりませんでした。
そして、全国の合格率も発表されましたが、それによると合格率61.0%(43,724/71,646人)[平成29年上期]だったとの事。
近年の合格率は約6割なので、まあ例年通りといったところでしょうか。
後日、正式な合格通知が郵送されてきました。
【技能】勉強方法
筆記試験に合格したので、技能試験の準備に取り掛からなければ・・・・、とまずは工具と練習キットを購入する事に。
工具はホーザン(HOZAN)がおすすめ
電気工事初心者の方は、最初から下記のHOZANの工具セット一式「DK-18」を購入する事をお勧めします。ネットでの評価も高く毎年かなり売れているようです。
実は最初、私はバラで「VVFストリッパー:P-958」と「リングスリーブ用圧着ペンチ:P-737」のみを購入して、ペンチやドライバーは手持品で済ませようと思いましたが、技能練習を重ねていくうちにスピードが必要である事を実感。
<VVFストリッパー:P-958>
<リングスリーブ用圧着ペンチ:P-737>
実技試験の制限時間は40分。スピード勝負。
手持ち品は作業中に手が滑ったり、組み立て時に微妙な調整をする場面で工具を落としたりと手に馴染ませるのに時間がかかりました。「たかが、ドライバーやペンチなど、どうにでもなる」と考えていた私の考えが甘かった。そのような一般的な工具でさえHOZANの物は使い易く作られていると知り、後から買い直したのです。今、考えると非常に無駄な時間を費やしてしまいました。
反面教師として参考にして下さい。。。
ちなみに、上記HOZANの「VVFストリッパー:P-958」と「リングスリーブ用圧着ペンチ:P-737」は当然ながら工具セット「DK-18」に含まれており、非常に使い勝手のいい代物です。実際に使ってみて感動すら覚えました。
次に練習用キットを詮索。
「1回用」「2回用」「3回用」と色々ありますが、「1回分」で充分です(実体験より)。
練習キットは1回分で充分
練習過程で消耗部品が足りなくなったら(主にケーブル)、その都度買い足せばいいのです。ホームセンターやリサイクルショップなどで安く売ってます。私はケーブルのみ買い足して2〜3回練習しました。
そして、テキストは何と言ってもこれ。筆記でもお世話になった「すぃ〜っと」シリーズの技能試験版。毎年ベストセラーです。
写真やイラストがふんだんに掲載
この本に載っている完成図のカラー写真をイメージとして頭に叩き込み、まずは複線図を完全にマスターしていく事が大事。ネット上では「複線図は頭の中で描けば良い」という意見もありますが、それはプロに近い熟練レベルの人。素人はマネしてはいけません。
しかし、本番試験は40分間と時間が限られているので、なるべく早く複線図を描く練習が必要です。3色ボールペンを使って色分けしても構いません。本番試験でも小物として持ち込みOKです。
複線図は本番を想定して2〜3分で描けるようにするのが大前提!
1日のうちで技能練習する時間が取れない時は、スキマ時間を利用して複線図を素早く描ける練習だけでもする事をオススメします。
そして、上記の「すぃ〜っと」本と合わせて活用して欲しいのが、youtube上の「電気工事士奪取PJ」と「ホーザン(HOZAN)電工試験の虎」のシリーズ動画。どちらも候補問題のNo.1〜13まで非常に丁寧に説明されてます。
この2つのシリーズについて、それぞれ1サイトに一括でまとめました。
(追記)
2021年度も技能試験の候補問題は全く同じになるようです。
電気工事士技能試験候補問題の公表
これで5年続けて同じ問題(2017年〜2021年)。この傾向が今後も続くか分かりませんが、受験生にとっては対策しやすい絶好のタイミングかもしれません。
下記の動画はそのまま使えます。
動画を一つ一つ探す手間が省ける構成にしてます。技能試験の練習をする際に活用して下さい。
なお、これを作成するのに際し、事前に「オンデマンド今井様」と「ホーザン(HOZAN)株式会社」から公認を頂いております。
(2018年4月〜)
この2つのシリーズ動画は「何に注意して作業すればいいのか」「欠陥を回避する方法」などノウハウ的な事まで非常に丁寧に解説されていて、まるで通信教育のDVD動画のようなイメージです。
無料公開とは思えない完成度の高さ
有名な動画ですが、これを知っているのと知らないのとでは、練習効率が雲泥の差となるでしょう。
上記で紹介したテキストとこの動画をベースにして練習をすれば、配線加工などやった事のない素人の方でもすぐにコツが飲み込めるはずです。
そして、1日約2時間(休みの日は6時間以上)、ひたすら練習を繰り返し、足りなくなったVVFケーブル、VVRケーブルを買い足しながら、3周目に入る頃には30分以内で完成させる事ができるようになってきました。(結局3周してしまいました。)
これは勉強というより工作に近く、日に日に自分のスキルが上達して行くのが体感できるため、非常に楽しかった印象があります。
あとは本場でケアレスミスさえしなければ・・・。練習を重ねていく中で、これが一番恐ろしかったのです。
【技能】 試験日
会場は200人ほどが入る大ホールでした。来ていた受験層は非常に幅広く、高校の制服を着た若者から作業着を着て腰に工具セットを装着したお兄ちゃん、白髪のご老人、主婦という感じの女性まで、よくもまあここまで多種多様な人達が集まるものだと感心したのと同時に、改めてこの資格の人気の高さを実感しました。
机に着席したが、噂に聞いていた通り作業スペースが狭い。
作業スペースは小学校の机並みの狭さ
40cm × 50cmくらいしか無かったように思います。こうなると、工具をいかに取りやすい場所に置くかがポイントとなってきます。
そして試験問題が配布。問題は「候補問題:No.8」。よりによって一番苦手なものが出た・・・。
技能試験で配布される試験問題のサイズは「A3」です。ここに「配線図」や「器具の説明」および「施工条件」が記載されています。
そして、この空いている箇所に『複線図』を描く必要があるのですが、このスペースが「縦15cm×横20cmほど」です。
複線図を描けるスペース
→縦15cm×横20cmほど
<実際の試験用紙>
よって、練習する時もこのスペースに描く事を意識しなければなりません。
詳細は下記の記事にまとめていますので参考にして下さい。
スタートと同時に複線図を描いていったのですが、あまりの緊張に手が震えていました(笑)。
それでも何とか2〜3分で描き上げ、一心不乱に工作開始。完成したのは35分。何とか間に合ったがミス配線をしていないか時間ギリギリまで徹底的にチェック。
本番では考えられないようなケアレスミスをしやすい。最後まで徹底的なチェックが必要!
やるだけの事はやった。そして、とてつもなく疲れました。
周りを見回すと7〜8割の人達が完成させており、一方、未完成の方は半分もできていないようで、何だか両極端。
結果発表は9月1日だが、それまで安心はできない。
今年度(平成29年度〜)から、「重大欠陥」「軽微な欠陥」という区分はなくなり、1箇所でも欠陥があればNGとなるのです。
◆下記のリンク先参照。
合格発表まで胃が痛い日が続きました。
ちなみに、技能試験にどこまでの「小物」を持ち込んでいいのか?グレーゾーンになっている部分を調査して下記の記事にまとめました(上記記事でもチラッと紹介しましたが)。持ち込めるモノはドンドン持ち込んで有利に試験を進めましょう。
【技能】結果発表
震える手でパソコンの画面をクリック。
合格!!!
いや〜〜、嬉しかった。
勉強を始めた頃は、自分がまさか一発合格するとは思いませんでした。筆記だけ合格しておいて、技能は来年に回そうかという思いもあっただけに、嬉しさはひとしおでした。
免許申請
書類を提出してから約3週間。念願の免許が届きました。実際に手にすると嬉しいものです。
なお、この免許を取るまでの費用を安く抑える方法について、下記の記事にまとめているので参考にして下さい。
電気工事士はビルメン4点セットの中でも、取得優先順位は間違いなくトップです。就職or転職に関わらず、何かあった時に「潰しの効く」資格として持っておいて損はないでしょう。
ちなみに、72歳でこの資格を取得された方もいらっしゃいます。ダーツが趣味のお洒落なご老人。興味のある方は一読願います。
一方、8歳でこの資格を取得した天才キッズもいます。技能試験の練習では圧着ペンチを使うのが大変だったようで、握力も鍛えたようです。
通信教育講座の調査 主要4社
これまで、『独学』で電気工事士を目指す方法について提示してきましたが、もし通信講座も検討している方がいれば、この記事も参考にして下さい。
人気のある4社について、その講座内容を徹底調査したものです。
【調査対象4社】
(1)翔泳社アカデミー
(2)ユーキャン
(3)JTEX
(4)SAT
自分に合いそうな講座があれば、資料だけでも取り寄せてみてはどうでしょうか?
認定電気工事従事者について
とりあえず、これで一応、プロの電気工事士となる事ができました。できれば、引き続き第1種も目指そうかとも思いましたが、第1種は5年以上の実務経験がないと免許が発行されません。。。
そこで、受講するだけで500kw未満(600V以下)までの「自家用電気工作物」の工事が可能となる「認定電気工事従事者」の免許を取得する事にしました。
「認定電気工事従事者」の取得方法については下記の記事にまとめています。
そして、この受講を経て取得した免許がこれです。電気工事士の免許と合わせて、この免許を持っているとかなり強力な武器になりますよ。
「第二種電気工事士」と「認定電気工事従事者」の免許証の形状や記載内容について、下記の記事に詳しく記載していますので、ご一読下さい。
電験三種へのチャレンジ
第二種電気工事士の資格を取得できたことで電気に興味が湧き、猛勉強の末、電験三種に合格する事ができました。
オススメの参考書や勉強ノウハウなどをまとめているので、目指している方は参考にして下さい。
勉強に疲れたら・・・ちょっと一服
勉強に疲れたら動画配信サービスで一息つくのはどうですか?
人気のある15社の特徴をまとめてみました。
無料視聴期間もあるので、じっくりと自分に合うものを選ぶ事ができますよ。
電気工事士を活かせる職業
電気工事士は、オールマイティーにあらゆる職種に使える為、常に一定数の需要があります。
設備技術系資格の中での求人数はトップ。
→求人系調査:電気工事士と消防設備士が強い
実際にどのような求人があるか、『リクナビNEXT』や『DODA』に登録して調べてみてはどうでしょうか?
【登録先】
リクナビNEXT【登録先】
DODA取得資格一覧
私がこれまで取得してきた資格の一覧表を下記ページに記載しています。
各資格の「おすすめテキスト」「勉強方法&ノウハウ」「試験概要」「難易度」などの記事にリンクさせていますので、参考にして下さい。
また、それぞれの免許証の「形状」や「サイズ」、及び「表記内容」がどうなっているのか、下記の記事にまとめました。
同じ資格を目指している方がいれば参考にして下さい。
現物の免許証を見る事で手にした時の具体的なイメージが湧き、多少なりともモチベーションが上がると思います。
国家資格『最年少』『最高齢』合格者調査
様々な国家資格や各種検定の『最年少』『最高齢』合格者を調査してまとめました。
すごい方ばかり。
これを見る事で勉強のモチベーションも上がると思います。