二級ボイラー技士に一発で合格する方法

受験の経緯

ふたば亭プラスです。

ボイラー技士という国家資格は、設備技術系資格として未だに根強い人気があり、ビルメン4点セットの一つとしてもカウントされています。

しかし、最近はボイラー資格の必要のない小規模な熱源設備が普及してきており、多くの現場や企業ではボイラー資格を事実上、知識や技能を証明する検定試験的な捉え方をするところが増えてきているようです。

なお、ボイラー技士には「2級」「1級」「特急」の3ランクがあり、それぞれのランクによって作業主任者になれる伝熱面積が異なります。

◆2級
→伝熱面積25m2未満(*1)
◆1級
→伝熱面積500m2未満(*1)
◆特級
→伝熱面積の制限なし

(*1)貫流ボイラー除く。

将来、もし設備技術系の職種に転職する事になった場合、少しでも仕事の幅を広げておきたいという思いと、昔の機関車もボイラーの原理で走っていたという事を聞いた事があり、レトロ技術を学んでみるのも面白そうだなあという趣味的な好奇心も後押ししてくれました。

ちょっと話が脱線しますが・・・、私は子供の頃から「銀河鉄道999」の世界観が大好きでした。最新式の宇宙船が「機関車の形だけを模倣」しており、それが白煙をあげながら星から星へ旅していくというロマンに満ち溢れたストーリー。

そのベースモデルとなった機関車が、昔どのような原理で熱を発生させながら動いていたのか、というのを学習するのは、国家試験勉強という枠組みを超えた魅力もあったのです。


難易度と合格率

【難易度】★★★☆☆☆☆☆☆☆
【試験日程】都道府県ごとに不定期実施
【受験者数】2万〜3万人/年
【合格率】50%〜60%

「受験者数と合格率」の年度ごとの詳細データについては下記の記事にまとめたので参考にして下さい。


筆記試験 申し込み

【受験費用】6,800円

【申請先】公益財団法人 安全衛生技術試験協会

この申し込み方法が厄介でした。。。危険物やTOEICのようにネット上でさっと申し込めるというものではありません。まず受験申請書を取り寄せ(もしくは近所の消防署で手に入れ)、手書きで書類を作成していく必要があります。

また、受験費用もカード決済ができません。銀行か郵便局で振り込み、その用紙を申請書に添付し、更に自分の写真も貼り付けて郵送するというもの。

詳細はここから。↓

ちなみに、申請書はこんな感じで、36ページほどの冊子になっており、作成例も含めてかなり詳しく書かれています。ボイラーだけではなく、その他資格も共通となっているのが分厚くなっている要因。

「今の時代に手書きはないだろ、もう少し簡素化してくれよ・・・」と愚痴をこぼしながら申請書を作成したのですが、まあ、しょうがない。。

実は、この時期「エックス線作業主任者」と「第3種冷凍機械責任者」も同時期に受けてやろうという無謀とも思えるスケジュールを組みだした頃でした。勉強癖のついたタイミングで一気に取得したかったのです。

当時のスケジュールを下記記事にまとめていますので、ご参考まで。。。


勉強方法

まずはネット情報からテキストと問題集をチェック。下記の2冊が特に人気がある事が分かりました。イラストがふんだんに描かれており、初心者でもすんなり理解できる構成となっています。

この2冊さえ徹底的にやれば合格圏に達する

断言できます。

まずはテキストをざっくりと読み(斜め読み)、全体像をぼんやりと把握した段階で、後はひたすら過去問を解いていきました。このボイラー試験は、過去問を使いまわして作成されており、とりあえず問題を解く練習を徹底していくという勉強スタイルで構いません。

あと、youtubeもボイラー関連の動画が山のようにアップされており、テキストでも理解しずらい所はこれらを見て視覚的に理解していきました。

特に株式会社キバンインターナショナルが無料公開している動画は非常に役に立ちました。

圧倒的な完成度の高さ!

「ボイラー」と入力して検索すれば膨大なシリーズ動画を見る事ができます。ヘルメットを被っているおじさん(実は社長)の解説が分かり易く、本当に無料でいいの?と思えるほどのクオリティーです。

その動画数はざっと20〜30本。下記はその一例を紹介しています。

なお、当該動画の掲載については、株式会社キバンインターナショナル様より了承を得ております。

そして冒頭でも説明した「機関車」に使用されているボイラーは「横煙管ボイラー」という種類に該当するのですが、この原理についても動画で説明されてます。

これらの動画と併せて、過去問を3周する頃には9割ほど正解するようになっていました。

なお、実体験をベースにしたもう少し詳しい「資格の勉強方法」のノウハウについては、下記記事にまとめているので参考にして下さい。

なお、下記は実際に走っている本物の機関車の動画です(横煙管ボイラー)。私自身が某蒸気機関車館まで撮影しに行きました。
画像をクリックすると動画再生できるようにしています。迫力をご確認下さい。


実技講習

ボイラーの免許を取得する条件として『実技講習の3日間受講』というものがあります。これは、試験の前でも後でも構わないのですが、どうせ受けないといけないのであればと、理解を深める為に試験前に受けておく事にしました。

ただ・・・、厄介なのが3日間連続講義なので、どのように調整しても平日が被ってくるのです。県ごとに設定日程が違うのですが、会社経由の受講でない限り自ら有給休暇を使う必要があります。

あと、申し込みも先着順で、早目に申し込まないと人数制限に達した時点で締め切りになってしまいます。しかも受講料が非常に高額・・・。2017年当時で、約22,000円。(2020年現在もほぼこの料金体制です)

参考までに各都道府県の実技講習実施日程は下記の通り。

日本ボイラー協会 教育・講習会

なお、後述しますが、この実技講習は筆記試験よりも先に受ける事をお勧めします。ボイラーを見た事もない初心者にとって、体で覚える事ができるこれとないチャンスなのです。テキストだけの無味乾燥した勉強に一気に色がつきます。

実技講習は筆記試験前に受けた方が良い

受講料を振り込んでから、数日後に講習で使うテキストが送られてきました。簡潔にポイントだけを抑えた構成となっています。

但し、ボイラーを見た事がない初心者がこのテキストだけで全てを理解するのは無理です。上記で紹介したテキスト「一発合格!これなら分かる 2級ボイラー技士試験」のような詳細な参考書を購入しておいた方がいいでしょう。

あと、このテキスト以外に『ボイラー図鑑』も同封されていました。

これはボイラー本体や部品&構造の詳細が写真満載で掲載されています。著作権上、このサイトでの紹介は控えますが、ボイラーのややこしい構造を視覚的に捉える事ができ、実際の実技講習でも有効に活用する事ができました。


【1日目】

<講習内容>
◆9:00〜12:30:
ボイラーの基礎知識、概要、附属品及び附属装置
◆13:20〜17:00:
燃料及び燃焼方法、自動制御点火、燃焼の調整

200人ほど入る大教室での講義でした。周りは結構若い人が多く、学生から20代ほどの若手社員らしき人まで。ボイラーの資格という性質上、私と同世代の40代かそれより少し年配の人が大半かなと思っていたので意外でした。女性も数人居ました。

9時から17時までひたすら座学講義で、様々な講師が入れ替わり立ち替わりで各セクションごとに説明して行くというもの。この講習前には上記で書いたような試験勉強をかなりやってきていたので、すんなりと頭に入りました。また、講師の教え方もうまい。さすがプロ。

ただ・・、ずっと座りっぱなしというのはキツク、途中何度か睡魔に襲われそうになったのですが何とか耐えました。周りも真剣に聞いている人が多く、皆真面目一色という感じ。ずっと寝ている人は数人でした。


【2日目】

<講習内容>
◆9:00〜12:30:
附属品及び附属装置の取扱い、ボイラーの水管理

◆13:20〜17:00:
点検及び異常時の処置

1日目と同様、9時から17時までひたすら座学。しかし一人の講師がずっと講義をするのではなく、2時間おきくらいに入れ替わるので、飽きることはありませんでした。

基本は、テキストとボイラー図鑑をベースにして、足りない項目や重要ポイントなどを講師の方が補足しながら説明していくというもの。たまに本筋から脱線して、過去にあったボイラー事故の様子や、現場での面白エピソードなども話してくれるのですが、このような情報も聞かせてもらった方が記憶に残り易く、もしその効果も狙っているのであれば、流石と言わざるおえません。

なお、講師の方は皆「特級ボイラー」の資格を保有されている方であり、その教養溢れる授業は飽きる事がありませんでした。


【3日目】

<講習内容>
◆9:00〜17:00:
実際のボイラーを使った実習

最終日は、場所が変わり某ボイラー会社の工場。

実際に動いているボイラーを見たり触ったりしながら講義を受けるというもの。ようやく実技講習らしくなりました。この時、生まれて初めて実際のボイラーに接する事ができたのですが、いやいや・・凄い迫力でした。レトロ技術の集大成といった感じ。今まで紙面上で勉強してきたものが目の前にあるというだけで感動に近いものがありました。(写真撮影の許可済)

講習では、実際に水面計の点検をさせてもらいました。

下記写真にあるコックを操作して水や蒸気の噴出状態を見るというもの。この部分はボイラーの中でも要の部分であり、過去問でもよく試験に出てくる項目。コックの開閉動作&順番がややこしいのです。テキスト勉強だけではイメージが掴みにくかったのですが、今回の講習を通して非常に良く理解できました。これだけでも来た価値があったと思います。

この後、講師の方に実際に点火して動かして頂いたのですが、想像していた程の音や振動はなりませんでした。伝熱面積が14m2と規模が小さいからなのでしょう。

また、講習では更にパソコンを使ったシミュレーションで、自らボイラーに点火したり、間欠吹出し確認を行ったりと盛りだくさんの内容でした。操作に失敗するとシミュレーション上のボイラーが爆発するという心憎い演出もありました。

そして、全ての講習が終わった後、一人づつ名前を呼ばれて下記のような「修了証書」を頂きました。

今回の3日間の講習を通して感じた事は、絶対に試験前に受講しておいた方がいい!という事。

この資格試験を勉強している人は、おそらくボイラーを見た事も触れた事もない人がほとんどでしょう。訳が分からず苦痛の中で勉強している状態だと思うのですが、講師の実践に即した説明や実際の装置を目の前にした勉強は吸収度合いが違います。身体で覚える事が出来るのです。

講習料金は高かったのですが、それに見合うだけのものがあり大満足でした。


試験日

いよいよ試験当日。
試験科目は「ボイラーの構造に関する知識」、「ボイラーの取扱いに関する知識」、「燃料及び燃焼に関する知識」、「関連法令」の4つで、各10問づつ出題され(計40問)、合格基準は各科目いずれもが4割(4問)かつ、合計40問のうち6割(24問)以上となっています。

過去問を徹底的にやって試験に望んだのですが、問題をざっと見た時に少し焦りました。。。過去問そのままという問題が意外に少なく、少し変化球を加えてきているという感じ。それでも記憶を振り絞りながら何とか回答できましたが手応えは微妙・・。悶々とした状態の中で、回答用紙を提出しました。

後で様々な情報を調べてみると、最近の試験は若干難化傾向にあるようです。この資格を目指そうとしているなら、早目に受けておいた方が良さそうです。


結果発表

受験番号は「7246」

ホームページの合格者番号を確認すると・・・、

あった!!!

やはりこの瞬間は嬉しい。

後日、正式な合格通知書が送付されて来ました。


免許申請

免許申請は、東京労働局が一括して行っているようです。年末年始は混み合うようで、申請してから免許が発行されるまで、3週間程かかりました。免許証は硬いプラスチックで出来ており質感はいいですよ。

これで、25m2未満のボイラーであれば、作業主任者になれる。まあ・・・、実際に使うかどうかは良く分からないけど、ボイラーの基礎を理解しているという証にはなるでしょう。


ボイラー技士を活かせる職業

ボイラー技士免許を活かせる職種というと、ビルメンテナンスや大型商業施設管理を思い浮かべる人も多いと思います。
しかし、こんな夢のある職種もあります。

東京ディズニーリゾートでの蒸気機関車のメンテナンスキャスト

「ウエスタンリバー鉄道」の機関士です。応募要項はこちらから。
東京ディズニーリゾート メンテナンスキャスト

ディズニーランドが好きで、バイト感覚と割り切って仕事ができる方であれば、人々に笑顔を与える事ができる最高の職場となるはずです。
世間の荒波にもまれて疲れ切った方などにもオススメかもしれません。

他に色々と活かせる職業があるかも。
『リクナビNEXT』や『DODA』に登録して調べてみてはどうでしょうか?

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取得資格一覧

2級ボイラー技士以外に、私がこれまで取得してきた資格の一覧表は下記にまとめています。「おすすめテキスト」「勉強方法&ノウハウ」「試験概要」「難易度」など、実体験をもとに紹介していますので、参考にして下さい。


勉強に疲れたら・・・ちょっと一服

勉強に疲れたら動画配信サービスで一息つくのはどうですか?
『hulu』や『U-NEXT』など多くの人気サービス(VOD)の特徴を分かりやすくまとめてみました。

無料視聴期間もあるので、じっくりと自分に合うものを選ぶ事ができますよ。


国家資格『最年少』『最高齢』合格者調査

様々な国家資格や各種検定の『最年少』『最高齢』合格者を調査してまとめました。
すごい方達ばかり。
これを見る事で勉強のモチベーションも上がると思います。