「カラマーゾフの兄弟」は面白い!最強のミステリー小説:漫画から読むのもオススメ

ふたば亭プラスです。

私は学生の頃、読書が大好きでジャンルを問わず毎月何冊も読みまくっていたのですが、そんな中、ちょっと挑戦してみようかと手に取ったのが「カラマーゾフの兄弟」

この作品は以前から知っていたのですが、ロシアの古典小説は難解かなという先入観と、約2000ページにも及ぶボリュームに躊躇していたのです。

しかし、読み進めていくうちにどんどん引き込まれ、その世界観に魅了されていきました。

・完璧な人物描写!
・ストーリーの緻密さ!
・人間の醜態を徹底的に表現!
・主人公への愛着!
・息つく暇もない畳み掛け!

驚きました。
圧倒的な面白さ!

文章を通して映像が頭の中に映し出され、映画を見ているような感覚。
初読から数十年経った今でも、その頃の衝撃は残っています。

では、どんな物語なのか?
あと、作者のドフトエフスキーの人物像とは?

個人的にまとめてみました。

ドフトエフスキーについて

ドフトエフスキーは59歳で死去(1821年〜1881年)するまでに、35編の小説を発行。

有名な作品として「カラマーゾフの兄弟」以外に、「罪と罰」「悪霊」「白痴」などがあります。

彼は、1800年代当時の知識階級の暴力的な革命が大嫌いで、キリスト教の思想に傾倒するようになりますが、作品中にもその影響がモロに出ています。

革命思想家としても活動していましたが、その影響で28歳の頃「死刑宣告」を受けるのです。

皇帝の恩赦で死刑は免れましたが、シベリアの監獄に4年間収容。
そして、ここで持病の「てんかん」が悪化。

最悪な状況の中ですね・・・。
辛かったでしょう。

しかし、この時の絶望的な恐怖体験が、彼が作家としての名作を生み出す原動力にもなっていったようです。

人生、何が転機になるか分かりませんね。

ちなみに「カラマーゾフの兄弟」は、死去する前年1880年に発行されたもの。

最後の作品が、「罪と罰」と並ぶ歴史的作品となったのです。
噂によると、彼の頭の中には続編の構想もあったようなのですが、個人的にはこれで完結しておいた方が良かったように思います。
詳細に書くとネタバレになってしまうので、この辺で抑えておきます。


影響を受けた著名人

ドフトエフスキーは様々な業界の著名人に影響を与えています。
その一例を紹介しますね。

僕などドストエフスキーとはケタが違うけど、作家として一番好き。

黒澤明

ボクの長編の基本は『罪と罰』なんです。

手塚治虫

ドストエフスキーは、この世に様々な“地獄”が存在することを示した。
もし「これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な本を三冊あげろ」と言われたら、考えるまでもなく答えは決まっている。
『グレート・ギャツビー』と、『カラマーゾフの兄弟』と、『ロング・グッドバイ』である。

村上春樹

僕がドストエフスキイに一番感心したのは「カラマーゾフの兄弟」ね、最高のものだと思った。
アリョーシャなんていう人間を創作するところ……。
アリョーシャは人間の最高だよ。
涙を流したよ。
ほんとうの涙というものはあそこにしかないよ。

坂口安吾

『カラマーゾフの兄弟』や『悪霊』のような根源的な観念をまるで核の分裂のように吐きだせる人物を今の私の力倆ではとても、創作できるとは思えない。
小説技術的にも何とすごい作家だと思った。
その時はいつか、自分もドストエーフスキイのような小説を書くべしと思った。
しかし、思えばそれは、こわいもの知らずであった。
以来二十年、私ができたのは、結局、私の理想的人物を描いた作品に『白痴』からヒントをえた『おバカさん』という題名を与えたぐらいであった。

遠藤周作

ドストエフスキーは、どんな思想家が与えてくれるものよりも多くのものを私に与えてくれる。
ガウスより多くのものを与えてくれる。

アインシュタイン

また、江戸川乱歩は「心理試験」の設定を「罪と罰」から構想を得ており、三島由紀夫は「仮面の告白」の中で「カラマーゾフの兄弟」を引用しています。

これだけの著名人が心酔するほどの天才的な魅力があったのでしょう。
まあ、分かる気がします。

カラマーゾフの兄弟

さっくりとどんな内容?

では、この「カラマーゾフの兄弟」はどんな内容なのか?
ざっくりと書いてみるとこんな感じですね。

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長男のドミートリイは父のフョードルと折り合いが合わず、常に喧嘩ばかり。
しかも、親子でありながら同じ女性グルシェンカに恋をしてしまう。
(この時点でちょっと異常なのですが・・)

そんな中、ドミートリイは父を殺す事を計画する。
そしてある日、父は殺されて大金も盗まれていた。
ドミートリイは捕まるが、「自分が殺したのではない。真犯人は別にいる!」と反論。
果たして犯人は・・・?

ちょっと意外に思った方もいるのではないでしょうか?

人間の葛藤をベースにしたミステリー小説

私個人の解釈として、こう感じています。

何に焦点を置いて読むかによって、印象は随分と違ってきますが、ミステリー小説(推理小説)として読むとかなり面白く感じるはずです。

そして、謎を解いていく過程で「人間、家族、恋愛、宗教、貧困」について深く考えさせられるのです。


主要な登場人物

この小説の登場人物は非常に多く、また、たまにニックネームで呼ばれたりするので序盤はちょっとややこしいかもしれませんが、主な登場人物だけに絞ると下記の8人になります。

ちなみに、主人公はカラマーゾフ三男のアレクセイ(アリョーシャ)です。

<カラマーゾフ一族>

父親 ヒョードル 強欲で好色な成り上がりの地主。
長男 ドミートリイ
(ミーチャ)
ヒョードルの前妻の子。
放埒で堕落した生活から抜けきれない退役軍人。
次男 イワン ヒュードルの後妻の子。
インテリ。合理主義、無神論者。
三男 アレクセイ
(アリョーシャ)

ヒュードルの後妻の子。
主人公。修道僧。純情で真面目な美青年。

使用人 スメルジャコフ コック。イワンの無神論者に心酔。
てんかん発作を抱えている。

<その他>

カテリーナ ドミートリーの婚約者。
グルシェンカ ドミートリーとヒュードルが親子で夢中となる妖艶な美貌を持つ女性。
ゾシマ アレクセイの修道院の長老。

主にアレクセイ(アリューシャ)の視点で描かれているのですが、彼が非常にいいやつなんです。

人間的にも好感が持てて感情移入しやすい。

人間関係がドロドロしたこの作品において、唯一まともというか、心のオアシスのような存在。

ドフトエフスキーもそれを狙っていたのかもしれません。


読み方

この小説は、多くの方が読書途中に断念してしまう傾向があります。

それは物語の導入部分の退屈さにあると思っています。
なんせ、人物像の紹介&相関関係、そして舞台設定の説明が大半を占めており、なかなか核心に入っていかないのです。

実は私もそうでした。
序盤の途中から投げ出そうかと思ったくらいです。

しかし、中盤を超えたあたりから一気に面白くなり、後半は手に汗を握りながら時間が経つのを忘れて没頭していました。

是非とも、中盤までは読んでもらいのですが、どうしても苦手という方はマンガから入る手もあります。

個人的にはこのマンガはオススメ。

物語の世界観をうまく表現!
登場人物のキャラクターも分かり易い!

そして、マンガである程度の雰囲気を掴んだら、原作の方に移って欲しいのです。

全てマンガで読んでも面白いのですが、原作の重厚感&高揚感はその数倍あります。
特に後半部分は、原作で読まないともったいないですよ。

原作はこちらから。
下記の新潮文庫のものが読みやすいと思います。
上、中、下巻の3冊構成。

3冊合わせて2000ページ近くありますが、「中巻」の後半から「下巻」は一気に読む事ができるでしょう。

ハマってしまうと、徹夜して夜通し読む事になってしまうのでご注意を。。。


ミステリー・カット版

最近は、こんな本も出てきました。

殺人事件を核にミステリー部分のみを大胆に取り出して編集したもの。
実は私も「こんなのがあったらいいな〜」と思っていたので、まさに「してやられた感」はあります。

面白い試みだと思いますよ。


読書のススメ

『最近、若者は本を読まなくなってきた。』
近年、スマホが普及しだしてから、特にそう感じています。

私は現在アラフィフですが、子供の頃から本が大好きでこれまでの人生の中で1000冊以上の本を読んで来ました。
(10歳位の頃から約40年間。一ヶ月に平均2〜3冊として計算。)

そんな私が、読書の面白さ&活字でトリップできる快感を感じて欲しくて書いたブログ記事です。

宜しければご一読下さい。


あと、お風呂の中で本を読みたい人のためにこんなアイテムもあります。

「お風呂メガネ」

時間を有効的に使えますよ。
私自身、実際に使ってみたレビューです。