【独学で一発合格】知的財産管理技能検定2級と3級の勉強法

知的財産管理とは

ふたば亭プラスです。

最近、様々な業界で注目を浴びてきている「知的財産管理技能検定」
検定という名前ではありますが、これは国家資格です。

合格すれば『知財技能士』と名乗ることを国から認められる。

では、そもそも「知的財産」とは何なのか?

近年、よくニュースや新聞などで見かける事も多くなってきましたが、まだまだ認知度が低いように思います。

「何となくは知っているけど詳しくは分からない。」という方が大半ではないでしょうか。

すご〜く簡単にいうと、下記のような感じで捉えてもらえればいいかなと思います。

人が生み出した創作物やアイデアなど形はないが価値のあるもの。

そして、この「形がないもの」について、乱用されないように保護していく必要があるのですが、知的財産管理で取り扱うのは、主に下記の7つです。

更にこの中の①〜④は、「産業財産権法」と呼ばれていて、権利化するには特許庁への出願、登録が必要となります。

実際の検定試験でも根幹をなすもので、それぞれ下記のようなイメージ。
超重要です。

これら製品の権利を保護する事は、企業(特にメーカー)にとって生死に関わるほど大事だという事が分かると思います。


そして、この「産業財産権法」と同じくらい重要なのが、⑤の「著作権法」です。

著作権とは文芸、学術、美術または音楽を対象としており、簡単にいうと下記のようなイメージ。

著作権とは、思想または感情を創作的に表現したもの。

身近なところでは、映画や写真、雑誌が対象になります。
最近、企業だけでなく、自らブログを立ち上げたり、SNSで情報を発信する方が増えてきましたが、そういう方こそ、この「著作権法」を理解していないと、とんでもないトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。

個人的には、現在のような情報化社会において、この「著作権法」は、一般常識として世間一般全ての人に浸透させるべきだと思っています。
高校や大学の授業に取り入れてもいいんじゃないのかな、と。


資格発足当初は、企業内(若しくは特許事務所)の従業員に取得させるケースが多かったようですが、最近では就職活動する際にも大きな武器になっているようで、学生や転職を検討している方々も積極的に受験しているようです。

企業や大学の求人広告にも、「知的財産管理技能士」「知財検定」「知的財産検定◯級」歓迎という記載をよく見かけるようになってきました。

ちなみに、知的財産管理技能士会のサイトでも一部の求人情報を掲載しているようなので、興味のある方は一度覗いてみてはどうでしょうか。
外部求人情報

では、この検定試験の内容がどのようなものなのか、3級と2級に焦点を当てて説明していきます。
(1級はかなり特殊な試験となるのでここでは割愛)

ちなみに、私は知財技能士2級を持っております。


試験概要&詳細情報

受験資格

【3級】

特になし

【2級】

①知的財産に関する業務について2年以上の実務経験を有する者
②3級技能検定の合格者
③学校教育法による大学又は大学院において検定職種に関する科目について10単位以上を修得した者
ビジネス著作権検定上級の合格者
⑤2級技能検定の一部合格者(学科または実技いずれか一方の試験のみの合格者)


3級は誰でも受験する事ができます。
2級は①〜⑤のいずれかの条件を満たしている必要がありますが、一番オーソドックスなのは、3級に合格した後に引き続き2級を受験する②のパターンでしょう。
ちなみに、①の実務経験の証明の仕方ですが、これはあくまで自己申告制です。
会社から何らかの書面を書いてもらい提出する必要はありません。
受験する際の申請書に自ら記入するだけでOK。
なお、私はこの①のパターンで2級から受験しました。


受験申し込み

知的財産管理技能検定のサイトから受験申請ができます。
「Web申請」と「郵送申請」どちらも可能。
申請手続き

なお注意点として、3級と2級の併願はできません。
仮に2級の受験資格がある方でも、念の為3級も受けておこうという事はできないのです。


試験の種類

【3級】

試験種形式問題数制限時間
学科試験マークシート3択30問45分
実技試験記述方式30問45分

【2級】

試験種形式問題数制限時間
学科試験マークシート4択40問60分
実技試験記述方式40問60分

2級と3級、どちらも「学科試験」と「実技試験」があります。
「学科試験」はごく一般的なマークシートですが、ちょっと特殊なのが「実技試験」の記述方式。
ベースはほぼ選択肢なのですが、その選択肢を直接答案用紙に書いていくのです。
例えば、選択肢が「ア・イ・ウ・エ」とあったら「ア」を書くというよな感じ。何らかの論文を書くわけではありません。
但し、何問かは計算問題(特許費用や、期限日の計算、etc)が出たりするので、これは選択肢はなく自分で導き出すしかありません。


合格基準

【3級】

試験種合格基準
学科試験満点の7割以上
実技試験満点の7割以上

【2級】

試験種合格基準
学科試験満点の8割以上
実技試験満点の8割以上

3級の7割以上は一般的な国家試験と遜色ありませんが、2級の8割以上は相当にキツイと思います。
「何となく覚えている」のではなく、「明確に理解している事」が焦点になっているのでしょう。


試験範囲

【3級】

3級試験範囲

【2級】

2級試験範囲


試験範囲については3級と2級でそれほど差異はありません。
詳細については、上記に知的財産管理技能検定サイトのページへのリンクを貼っているので、そちらを確認して下さい。


受験手数料

【3級】

◆学科試験:¥5,500(非課税)
◆実技試験:¥5,500(非課税)
<合計>¥11,000(非課税)

【2級】

◆学科試験:¥7,500(非課税)
◆実技試験:¥7,500(非課税)
<合計>¥15,000(非課税)


受験料は、様々な国家資格の中でもトップクラスでしょう。
弁理士試験でさえ、¥12,000なんですから・・・。
会社経由で受ける方ならともかく、個人で受験するのはかなりの出費となりますね。
ちなみに、「学科」と「実技」のどちらにも合格しないと、技能士認定はされません。
但し、片方だけ合格した場合、その履歴は2年間有効とされます。
例えば、初回で「学科」だけ合格した場合、次の試験では「実技」だけ受ければいいのです。
ただ、この費用を考えると、なるべく一発合格したいですね。


試験日

【3級】【2級】共通

3回/年・・・3月、7月、11月

どちらも1年に3回の受験チャンスがあります。
計画は立てやすいと思いますよ。


合格率

【3級】


【2級】


合格率は3級が60〜70%に対して、2級は40%前後です。
2級となると、上でも書いたように問題数が増え合格基準も7割から8割になるのでかなり大きな壁になります。
2級を受験する方は心して挑んだ方がいいでしょう。
ちなみに、どちらの級でも「学科」と「実技」で合格率はそれほど変わりません。
つまり「実技」と名がついていても、難易度にはそれほど差異はないのです。
受験生のレビューを見ると、「学科」は落ちたけど「実技」には合格したという方が多数います。

とりあえず「学科」向けの勉強を完璧にしておけば、自ずと「実技」の実力もついてくるものと思われます。


過去問

過去問は知的財産管理技能検定のサイトに1級〜3級まで掲載されています。
過去3回分くらい。
下記にリンクを貼っておきますね。
過去問題

どんな問題が出題されるのか、感触だけでも知りたい場合は利用するといいでしょう。なお、解答も掲載されていますが、何の解説もないので間違えた場合、深く理解する事はできません。


出題傾向

私は2級を受験する前、3級から受験しようと考えていて、3級の出題傾向もかなり調べました。
結局は2級から受験したのですが、この時の情報を元に「それぞれどの分野が出やすいのか?」という事についてまとめてみました。

【3級】

「著作権法」の比率が高い

3級は、知財にあまり触れた事がない方(学生や企業内で関連部門外の方)が受験するケースが多いので、最も身近な著作権法から出題される傾向があるようです。
勉強する際も、この分野から入っていく方がとっつきやすく捗ると思いますよ。

【2級】

「特許法」の比率が高い

2級は、実務で知財関連の仕事をバリバリやっていたり、研究開発部門で特許を書いた事があるような方、または3級合格者で更に上を目指したいという向上心のある方が受験してくるので、出題傾向もそれに順応したものとなっています。
何はともあれ、やはり「特許法」の比率が最も高いですね。

また、2級になると「ひっかけ問題」が多数出てくるようになります。
受験生をふるいにかけようという運営者側の意図がミエミエ。

上で書いたように、合格基準も8割以上と高いので、「曖昧ではなく完璧な理解」が求められます。
2級合格者=即戦力として使える人材。
というようなイメージを定着させたいのでしょうね。


おすすめ参考書

【3級】

【2級】


3級と2級、どちらも「公式テキスト」(アップロード社)と「スピードテキスト」(早稲田経営出版)が定番となっています。
私は2冊とも書いましたが、「公式テキスト」は辞書がわりにして、「スピードテキスト」をメインで勉強しました。

どちらも非常に読みやすいのですが、「スピードテキスト」の方が『何が重要なのか』というポイントが分かりやすく、構成としてもよくまとまっている印象を受けたのです。

ただ、スリムに纏めすぎているため、細かい部分の説明が割愛されている部分がいくつかありました。
そのような場合に、「公式テキスト」を利用して理解を深めるというような使い方をすれば鉄壁になると思います。


おすすめ問題集

【3級】

【2級】


問題集のおすすめは、3級と2級、どちらも「厳選過去問題集」(アップロード社)です。

良問ばかり!
本試験でも似たような問題が多数出題!

過去問の中で出題頻度の高いものを200問セレクトした構成になっているのですが、各問題に対する「解説」が非常に詳しく記載されているのです。
間違えた箇所があっても、解説を読み「なるほど!」と納得する事しかり。

また、見開きの左ページが問題で、右ページが解説という作りなので非常に見やすいのです。
そして、何より有り難かったのが、本試験でも似たような問題(注:全く同じという事ではない)が多数出題された事。

この問題集をメインにして、8〜9割の正解率に達するまで何回も繰り返す事が合格への近道。

自らの体験としてそう思います。
本の厚みもそれほどないので、外出する時にカバンの中に入れておき、スキマ時間を利用して少しづつ解いていくのもいいかもしれません。

私は通勤電車の中で解いてました。

具体的な勉強フローとして、こんな感じでやっていくのが最短合格へ繋がると思います。

<勉強フロー>

この時、絶対に①の参考書通読に時間をかけないで下さい。サラッと斜め読みでいいんです。
何なら、本文中で赤字や太字で書いてある所だけを目で追うだけで充分。
あくまでも②の過去問を中心に勉強して、③間違えた時のみ参考書をじっくり読むようにして下さい。

そして、過去問をある程度正解できるようになってから、総復習(最終仕上げ)の位置付けで、参考書全体をじっくり読むようにするのがいいかと思います。(もし時間があれば)。

あと、オススメなのが、自分なりに一覧表にまとめて体系的に理解する事。

一覧表にまとめると記憶に残りやすい

例えば・・・、一例として、こんな感じ。

  新規性喪失
の例外
国内優先権 出願公開制度 出願審査
請求
特許
実用
新案
×
出願中は非公開
×
実体審査なし
意匠 × ×
出願中は非公開
×
出願すれば実体審査
商標 × × ×
出願すれば実体審査
  存続期間 延長
特許 出願から20年 最長5年
実用
新案
出願から10年 なし
意匠 登録から20年 なし
商標 登録から10年 更新OK

これは私が独自でまとめた一覧表の一部ですが、こういう表を自分なりに何パターンも作って、整理していけば勉強の効率も上がりますよ。


おすすめYoutube

LEC講師の方の動画です。
2級メインですが、3級用としても充分使えます。

何よりも分かりやすいのです。
しかも1時間以上もあります。

こんな動画無料でいいの?
大丈夫?LECさん。

ただし、法改正前の内容で構成されているため、数カ所現行法と相違のある部分があります。
そこは自ら見極める必要があるので、まずは上記の参考書や問題集で基礎固めをしてから試聴した方がいいですね。

あと、この動画を見てLECの講座に興味を持たれた方は、ここから申し込む事もできます。

【LEC講座 申し込み先】

<2級>

LEC 知的財産管理技能検定2級

 

<3級>

LEC 知的財産管理技能検定3級

あと、3級に特化した動画もあります。
村井Pという方(某国立大学准教授、1級知的財産管理技能士)が関西弁で非常に分かりやすく解説してくれてます。
キャラが濃い!
知財勉強の初心者の方にとっては、最高の神動画だと思いますよ。


受験計画について

知財に関わる業務についていない方や学生の方は、まず3級から受験する事になると思います。

そして、3級に合格したら、是非とも引き続き2級にトライして欲しいのです。

3級と2級の試験範囲はほぼ同じであり、新たに別分野を勉強する必要はありません。
ただ、より深い理解力が求められるので、中途半端なうろ覚えではなく「完璧な理解と思考力」が必要となります。
しかし、3級に合格し、その内容が面白いと感じた方は、培った知識が薄れてしまわないうちに2級を目指せば、ある程度ハードルは下がります。

2級を持っていれば、実践的な活用の場が広がるだけでなく、冒頭でも説明したように就職や転職をする際にもかなりの武器になると思いますよ。


試験当日

私は長年、某メーカーの研究開発職として働いていたので、受験資格制度を利用し、2級から受験しました。

試験会場は大阪工業大学。

会場に着いてみると、老若男女、様々な方がロビーに集まっていました。皆さん、一心不乱にテキストや問題集を開いて最後の追い込みをかけています。

手にしているのは、上で紹介した「おすすめ参考書」「おすすめ問題集」の本が圧倒的に多かったですね。
やはり、いいものは受験生どうしの情報交換や、ネット上の口コミなどで広がっていくのでしょう。

試験中、感じたのは「厳選過去問題集」と似た問題が多いな、という事。
ただ、2級の問題の特徴として「ひっかけ」が様々な所に張り巡らされているので注意が必要。
最後の2択まで絞り込んでから、悩むパターンがいくつかありました。


合格発表

試験日から約1ヶ月半後、ネット上で合否が確認できます。

何とか合格できました。
自己採点である程度分かっていたのですが、実際に確認できると嬉しいものです。

後日、合格証が郵送されてきました。

サイズはB5ほどで、やや小さいのですが、重厚感のある立派な作り。
「技能士の名称を称することを認める」というのがいいですね。
勉強をやり切った達成感を得る事ができました。


知財技能士を活かせる職業

この資格を活かせる業種としては、特許事務所や企業の知財部になるかと思います。
ただ、最近はこの資格の需要は徐々に高まってきており、求人数も増えてきている傾向にあります。

実際にどのような求人があるか、『リクナビNEXT』や『DODA』で調べてみてはどうでしょうか?

【登録先】

リクナビNEXT

【登録先】

DODA

知財関連のその他の資格

特許サーチャー(特許先行技術調査員)

一般的にはあまり馴染みがないと思いますが、特許サーチャーという資格(専門職)があります。
正式名称は「特許先行技術調査員」や「調査業務実施者」とも言われています。

これは、出願された特許に着いて、過去に類似した特許が存在していないかそうか、特許庁の審査官と連携して調査を行う事ができる資格です。

この資格を得るには、特許庁主幹の2ヶ月に渡る専門研修に参加し、そこで行われる4回の試験(筆記試験2回と技術面接2回)に合格する必要があります。

かなり厳しい試験なのですが、知財検定と異なるのは、合格すれば即戦力として特許庁と連携した業務を行う事ができる事。
そして、対象となる法律は「特許法」と「実用新案法」のみ。

私は、この試験にもトライして何とか合格する事ができました。

その時の様子をブログに書いていますので、興味のある方は覗いてみて下さい。


弁理士

知財関連の最高峰の資格といえば、弁理士でしょう。
合格率は驚異の6〜7%。
試験も①「短答式」②「論文式」③「口述式」の3パターンがあり、全てに合格する必要があります。
この中で①「短答式」は、マークシート方式なのですが、その難易度は知財検定のはるか上をいきます。

過去問が特許庁のホームページに掲載されているので、興味がある人は確認してみて下さい。
弁理士試験 過去問
その難易度の高さに驚愕する事でしょう。

私もいつかは弁理士を目指してみたいのですが、他に取りたい資格がいくつかあるので、まずはそっちに専念。
ある程度落ち着いたら、じっくりと腰を据えて挑戦してみようと思っています。


勉強に疲れたら・・・ちょっと一服

勉強に疲れたら動画配信サービスで一息つくのはどうですか?
『hulu』や『U-NEXT』など多くの人気サービス(VOD)の特徴を分かりやすくまとめてみました。

無料視聴期間もあるので、じっくりと自分に合うものを選ぶ事ができますよ。


国家資格『最年少』『最高齢』合格者調査

様々な国家資格や各種検定の『最年少』『最高齢』合格者を調査してまとめました。

すごい方達ばかり。
これを見る事で勉強のモチベーションも上がると思います。