放射線の危険性
ふたば亭プラスです。
日本は原子爆弾の被爆国であるだけでなく、東日本大震災の原発事故で大きな被害を受けました。
ただ、
◆放射線をどれくらい浴びると、どんな症状が現れるのか?
◆どこまでが安全なのか?
という事について、大半の人はあまり詳しく知らないと思います。
特に、福島の原発事故の時は、日々ニュース報道で、
「◯◯ベクレルを測定」
とか
「◯◯シーベルトの危険性」
など、聞き慣れない言葉が始終飛び交い、混乱されていた方も多いのではないでしょうか?
そして、今なお放射線の危険性と影響について曖昧な情報が入り乱れている中、ある程度の専門知識を持ち合わせている私なりに、出来るだけ分かりやすく放射線の危険性についてまとめてみました。
放射線&放射能の単位
まずは、放射線&放射能の単位「ベクレル」・「グレイ」・「シーベルト」が何を表しているのか?という事について、すご〜く簡単にまとめてみました。
ベクレル | Bq | 物質が放射線を出す能力(強さ) |
グレイ | Gy | 「モノ」が放射線のエネルギーを吸収する量 |
シーベルト | Sv | 「人体」への影響の大きさ(被爆線量) |
本来はもうちょっと細かい規定がありますが、ざっくりとこんな感じで捉えてもらえれば十分かと思います。
シーベルトとは?
3つの単位の中で、最もメジャーなのが「シーベルト」です。
「人間」への影響が関連するものですからね。
そして、この「シーベルト」の計算にはあるルールがあります。
それは、グレイ(Gy)と、『①放射線の種類』と『②人体の各組織』を掛け合わせて数値化すること。
要は、人体に与える影響は放射線の種類によっても違うし、臓器によって放射線被害の受けやすさが違うからです。
シーベルト(Sv)
= グレイ(Gy)× ①放射線加重係数 × ②組織加重係数(Σ)
①放射線加重係数
<放射線の種類> | <影響係数> |
アルファ線 | 20 |
エックス線、ベータ線、ガンマ線 | 1 |
中性子線 | 2.0〜2.5 |
②組織加重係数
<組織> | <加重係数> |
赤色骨髄、腸、肺、胃、乳房 | 各0.12 |
生殖腺 | 0.08 |
膀胱、肝臓、食道、甲状腺 | 各0.04 |
脳、皮膚、骨、唾液腺 | 各0.01 |
他の組織&臓器 | 0.12 |
致死量&健康への影響
では、どれくらいの放射線を浴びると人体に影響が出るのか?
ポイントを絞り簡単に一覧表にしてみました。
1Sv(シーベルト)= 1,000mSv(ミリシーベルト)
10Sv以上 | 即死 |
7Sv | 60日以内に100%死亡 |
3〜5Sv | 60日以内に50%死亡(骨髄死)、脱毛 |
1〜2Sv | 吐き気、発熱、頭痛 |
500mSv | リンパ球減少 |
250mSv | 白血球減少 |
200mSv | 通常の臨床検査で異常は確認されない |
100mSv未満 | 発ガンリスクに統計的差異なし |
50mSv | 放射線業務従事者の基準(年間) |
7mSv | CT検査(1回) |
5mSv | 健康診断のX線検査 |
2.4 mSv | 自然から受ける世界平均の放射線量(年間) |
1mSv | 安全基準(年間) |
1シーベルト以上は非常に危険!
7シーベルト超で死に至る。
大まかに、こう覚えておけばいいと思います。
イメージとしては、250mSvを超えるあたりから、明らかに変調をきたすようになります。
そして安全基準として規定されているのが、1ミリシーベルト(mSv)です。
【安全基準】
1ミリシーベルト(年間)
但し、この安全基準には専門家の間で様々な論議を呼んでおり、今後変更されていく可能性もあります。
環境省からも通達されていますが、この1mSv/年間という数値は、安全と危険の境界線ではありません。
また、1mSvまでなら浴びてもいいという訳ではなく、様々なケースを想定して現実的な範囲で規定していく事が必要だと思うのです。
ちなみに、人体の局所被爆の限度は下記のようになっています。
<局所被爆の限度>
1Sv | 皮膚 |
300mSv | 眼の水晶体 |
2mSv | 妊娠中の女性の腹部表面 |
原爆の放射線
広島に投下された原爆の爆心地について、1945年当時にどれくらいの放射線があったのか?
これについては、資料によって数値に一貫性がありませんが、主なデータをピックアップすると下記のような線量となっていたようです。
103シーベルト(ガンマ線)
141シーベルト(中性子線)
(参考)広島・長崎における原爆被害と現状
435シーベルト
(参考)中國新聞
<グレイ表記>
319.5グレイ(ガンマ線)
21.1グレイ(中性子線)
また、爆心地から1キロ先でも屋外にいた人の放射線量は、4シーベルトに達していたようです。
【爆心地から1キロ先】
4シーベルト(ガンマ線)
(参考)広島平和記念館
どのデータを見ても、もの凄い数値が並んでおり、原爆の恐ろしさを実感できると思います。
なお、現在の広島や長崎の放射線量は、自然放射線量よりもはるかに少なく、人体への影響は限りなくゼロに近いものである事をお伝えしておきます。
エックス線作業主任者資格について
このような放射線の危険性について、更なる知見を増やしたい方は、「エックス線作業主任者」の国家資格にチャレンジしてみてはどうでしょうか?
上記のような内容だけでなく、エックス線の発生原理や測定方法などについても学習する事ができます。
私がこの国家試験を受験した時の様子を下記の記事にまとめていますので、参考にして下さい。